57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/24(金) 15:30:01.72 ID:MhlUXkPw0
アスナ「えっ」

キリト「あれからいい装備が見つからなくてさ……」

アスナ(まぁキリトの匂いは十分堪能したし……いいかな)

アスナ「分かったわ。ちょっと待ってて」

アスナ(とりあえず適当な装備に変えて、借りてた装備をキリトに渡して……っと)ピッポッパ

キリト「ちょ、ちょっとアスナ!」

アスナ「なに?」

キリト「な、なにってその……な、なんでそんな装備を?」

キリト(なぜ水着……しかも結構きわどい。アスナってそういうのが趣味なのかな? というか俺には刺激が強すぎる!)

アスナ「なんでって……キリトに装備を渡すために適当な装備にしただけ。ねぇ、なんで顔そむけたりしてるのよ」

キリト「自分の姿を見れば分かる」

アスナ「自分の姿?」

アスナ「…………」

アスナ「い、いやああああああああああっ!」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/24(金) 15:41:44.54 ID:MhlUXkPw0
キリト「まぁアスナがどんな趣味をしていようがいいけどさ……もう少し状況を考えたほうがいい」

キリト「こんな街中で突然水着姿になるなんてさ」

アスナ「わざとじゃないわよ! それより、今キリトが装備している服は要らないのよね?」

キリト「あぁ……返してもらった装備があれば十分だ」

アスナ「なら、私がもらってもいいのよね?」

キリト「男専用なんだけど……」

アスナ「いいのよね?」

キリト「はぁ……まぁいいけどさ。耐久値も尽きかけてるし、大した価値はないと思うけど」

アスナ(ボロボロになるまで使い込んだっていうことは、キリトの匂いがたっぷり染み込んでるのよね!)ダラァ

キリト「あのさ……なんでヨダレ垂らしてるの?」

アスナ「垂らしてないわ」フキフキ

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/24(金) 15:52:43.69 ID:MhlUXkPw0
キリト「何だか今日のアスナ、ちょっと変だぞ」

アスナ「そ、そんなことはないわ」

キリト「…………」

キリト(まさか、偽物? 他プレイヤーに偽装するスキルなんてあっただろうか……)

アスナ「ねぇ、どこかでご飯食べない?」

キリト(食事に誘うフリをして人気のない所におびき寄せるつもりか?)

アスナ「キリト、聞いてる?」

キリト「…………」

アスナ(もしかして、無視してるわけ? 舐めた真似してくれるじゃない……それなら!)ギュッ

キリト「のわぁ!」

キリト(い、いきなり腕を抱きしめてくるなんて! ア、アスナの胸の感触が……柔らかいなぁ)

キリト(もう偽物だとかどうでもいいやぁ)

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/24(金) 16:02:40.57 ID:MhlUXkPw0
――レストラン

キリト(なんだ、ただのレストランじゃないか。偽物なんていうのはただの杞憂だったのだろうか)

キリト(しかしここに来るまでの間、ずっとアスナがしがみついてくるだもんなぁ……こんな性格だっけ?)

キリト(まぁそのおかげで、胸の感触を存分に堪能できたわけだけど)

アスナ「キリト、あーん」

キリト(やっぱり怪しい……ハッ! まさか俺を色仕掛けで落として、何でも言うこと聞いちゃう奴隷にするつもりじゃ……)

キリト(ホネヌキってやつだっけ? 残念ながら俺はそんな手は食わないよ)

キリト「さすがにそれは恥ずかしいな。自分で食べるよ」

アスナ「え……」ウルッ

キリト(なぜ涙ぐむんだ!?)

アスナ「そ、そうだよね。こんなことやったら迷惑だよね。ごめん、キリト……」

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/24(金) 16:09:48.13 ID:MhlUXkPw0
キリト(お、俺はなんで女の子を悲しませるようなことを!? くっ、男として最低じゃないか……)

キリト「いただきます!」パクッ

アスナ「キリト……」

アスナ(さっき無視した仕返しに、ちょっとからかってやろうと思っただけなのに……何だか楽しくなってきちゃった)

アスナ(今の慌てふためくキリトの様子と、さっきもらった装備で……ご飯三杯はいけるわね)

キリト(あーんしてもらったら、あーんし返すもんなのかな? こういう経験ないからよく分かんないけど)

キリト「アスナ、あーん」

アスナ「えっ!?」

キリト「どうかした?」

アスナ(わ、私がするのはいいんだけど……なんだかキリトにされるのは恥ずかしいなぁ)

アスナ(あ、するされるって言ってもいやらしいことじゃなくて、えっと、その……)

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/24(金) 16:15:42.75 ID:MhlUXkPw0
キリト「アスナ」

アスナ「な、なに?」

アスナ(な、なんでそんなに顔を近づけてくるのよ! もしかしてキス?)

アスナ(すっごく嬉しいんだけど、でもなんか違うっていうか。キスするならベッドの上で……じゃなくて!)

アスナ(ってそんなこと考えてる内に、キリトの顔がすぐそこまで来てるじゃない!)ゴツン

アスナ「いたっ!」

キリト「いてて……熱はないみたいだな」

アスナ「何やってるのよあんたは!」

キリト「何って……おでこで熱測ったんだけど。さっきから顔が赤いし、熱でもあるのかと」

アスナ「ここは現実じゃなくてゲームの中でしょうが」

キリト「あ、そっか……」

アスナ「βテスターが聞いて呆れるわね」

アスナ(まったく……ドキドキして損したわ)

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/24(金) 16:25:33.37 ID:MhlUXkPw0
キリト「何だかアスナと一緒に居るとさ、ゲームって感じがしなくて」

アスナ(……えっ?)

キリト「街中を歩いたり、昼寝したり、ご飯食べながら他愛のないことを話したり……」

キリト「そういうのがすごく楽しくてさ」

アスナ「な、なに恥ずかしいこと言ってるのよ!」

キリト「ごめんごめん」

キリト(さっきまでのアスナの行動の方が、よっぽど恥ずかしいと思うんだけど)

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/24(金) 16:31:05.77 ID:MhlUXkPw0
キリト「はぁ、これがゲームじゃなくて現実だったらいいのに」

アスナ「……何言ってるの」

キリト「?」

アスナ「このゲームをクリアすれば……現実でも会えるじゃない」

キリト「アスナ……」

アスナ「さて、そろそろ休憩は終わりにして、レベル上げでもしましょう」

キリト「アスナって……直結厨なの?」

アスナ「氏ね、バカキリト!」ドゴォ

キリト「ぶほぁああああっ!」

キリト(なんという腹パン……さっき食べたものをすべてぶちまけてしまった!)

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/24(金) 16:37:06.22 ID:MhlUXkPw0
数時間後――

キリト「……今日はこんな所かな」

アスナ「そうね」

キリト「それじゃ、ここで。また明日」

アスナ「えっ?」

キリト「どうかした?」

アスナ(ここまで来たら二人でベッドインでしょう普通)

アスナ(数時間前まではいい雰囲気だったのに……やっぱりあのまま宿屋直行するべきだったのよ!)

アスナ(まぁ今日はいろいろと収穫もあったし、許してあげましょう)

アスナ「えぇ……また明日ね」

84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/24(金) 16:42:15.02 ID:MhlUXkPw0
――宿の一室

アスナ(さて、と。キリトの服を出しましょう)ピッポッパ

アスナ(すごい匂いね……たまらないわくんかくんか)

アスナ(まずはぎゅーっと抱きしめて、キリトの顔を思い浮かべて……はぁはぁ)

アスナ(今日のキリトは可愛かったなぁ。胸を押し当てられるだけで顔真っ赤にしちゃって)

アスナ(あーんを断られて泣きそうになるフリをする私を見て、慌てふためくキリトもよかったわ)

アスナ(その後、キリトがあーんしようとした時にはちょっとドキドキしちゃったわね……)

アスナ「キリトキリトキリトキリトキリトぉおおおおおっ……あぁんっ!」ビクンビクン

アスナ「……ふぅ」

88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/24(金) 16:51:27.16 ID:MhlUXkPw0
数時間後――

アスナ「ちょっとやりすぎたわね……少し夜風に当たって来ましょう」ガチャ

「はぁ、はぁ……で、出るっ!」

アスナ(あれ、キリトの声? 同じ宿屋だったんだ……)

アスナ(もしかして私で……ふふ、ちょっと盗み聞きしちゃいましょ)

「あんっ、あぁっ!」

アスナ(女の声!? キリト、浮気してたの……?)

「出る、出るよサチィイイイイイッ! ……ふぅ」

キリト(録音アイテムって便利だなぁ。サチが一人でしてるのを偶然見かけて、つい録音しちゃったよ)

89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/24(金) 16:57:37.83 ID:MhlUXkPw0
アスナ(名前はサチっていうのね。街中じゃ殺せないし、キリトに人殺しする所なんて見られたくない)

アスナ(明日にでも情報を集めて、一人きりのところを殺してやる)

アスナ(キリトにはその後で、たっぷりとキツイお仕置きをしてやるんだから……)


次の日からアスナはサチという女性の情報を集め始めた。
しかしサチを探すことに夢中になり、上層の攻略にはまったく関わらなくなった。
当然副団長の座も奪われ、キリトとも疎遠になってしまった。
彼女はゲームがクリアされるまでの間ずっと、サチという女性を探し続けたという。

引用元: キリト「アスナ、この前貸した装備そろそろ返してほしいんだけど…」