1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/22(日) 22:01:04.52 ID:C2xTlLGv0
ザ~~~ッ!!

夏海「うわっ、外すっげー雨じゃん。これじゃ当分帰れんなぁ」

蛍「さっきまでいい天気だったんですけどね……」

れんげ「天気予報では晴れって言ってたん! あの予報士インチキなんなー」フムー

小鞠「しょうがないよ。この村じゃなくて地域全体の予報だもん」

夏海「ウチの村はどのチャンネルでも華麗にスルーですもんなぁ…──んっ?」

卓「」バサッ

夏海「おっ、兄ちゃん傘持ってきてたんだ」

夏海「…そうだ!」

夏海「兄ちゃん、一度うち帰って全員分の傘持ってきてよ。ウチら待ってるからさ」

卓「」コクリ

スタスタ…

……

ビュオオオォォォオオーーッッ!!!

小鞠「きゃっ!? …何今の風の音?」

夏海「あはは。こんな強い風じゃ姉ちゃんなんて一発で吹き飛んじゃうな~」

小鞠「そんな簡単に飛ばされてたまるか!! 人のことを傘みたいに言うなよな」フン






卓「……」グッショリ

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2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/22(日) 22:05:59.01 ID:C2xTlLGv0
蛍「──アレから2時間経ちますけど」

ザザーッ

小鞠「う~ん、さっきよりは雨弱まったんじゃない?」

夏海「いや~、雨が弱まったって傘無きゃ意味無いっしょ」

れんげ「兄にぃなかなか戻ってこないのん」

夏海「しゃーない、暇だしロッカーからなんか出して遊びますかー」ガサゴソ

夏海「…んっ?」

夏海「この形状と手触りはもしや……」ススー

テレレレー

れんげ「おおっ!? なっつんが傘出したん!! なっつん手品師だったんなー!?」

小鞠「あ~っ、それ去年買ってすぐ夏海が無くしてお母さんに怒られた傘じゃん!」

夏海「こんな所に紛れ込んでたのか。全然気付かんかったわー」ポリポリ

蛍「えっ、じゃあこのロッカー1年くらい触ってなかったんですか…?」

夏海「まぁまぁ、細かいことは気にしな~い。ともかくこれで帰れんだしさー」

小鞠「ちょっと、お兄ちゃんはどうする気よ?」

夏海「心配せずとも行く道も帰る道も一緒なんだし、どっかで必ず会えるってー」

3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/22(日) 22:10:09.79 ID:C2xTlLGv0
夏海「そんじゃ、みんな帰るぞー!」オー

小鞠「まだ私帰るとは一言も……まぁいいや。蛍、帰る準備しよ?」

蛍「はい♪」

れんげ「ウチ、ランドセル取ってくる~ん!」タタッ

蛍「…あっ、でも傘ってそれ1本しか無いんですよね?」

夏海「うん。だからなるべく他の人を濡らさないような人に持って貰わんと……」

キラーン

小鞠「はい! 私持つ! この中じゃ一番年上だし、気配りだって出来るもん!!」ドン

夏海&蛍「……」

蛍「えっと……小鞠先輩が持つんですか?」

小鞠「そうだけど、それが何?」フスー

蛍「い、いえ! 何でも無いです! 何でも! …大丈夫、覚悟は出来てますから」グッ

夏海「え~、ウチこの雨ん中ノーガードは勘弁なんですけど……」

小鞠「はぁ? 2人とも何言ってんの? ほら、バス着いちゃうから早く傘渡してよ」

れんげ「こまちゃんこまちゃん」

小鞠「何、れんげ? もしかして、れんげも傘持ちたいの? でもれんげじゃさぁ──」

れんげ「ウチは傘とか別にどうでもいいのん」

小鞠「へっ?」パチクリ

れんげ「それより、なんで背の低いこまちゃんが持つ流れなのかが気になったん」

れんげ「どう考えてもほたるんが持つべきなのに、こまちゃんが持つ必要あるん?」

小鞠「……」

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/22(日) 22:21:06.83 ID:C2xTlLGv0
───────

──────

─────


ザザーッ

ゲコゲコゲコゲコ…


小鞠「だって、蛍は年下だし…私だって背伸びして手伸ばせば3人くらい…」ブツブツ

夏海「姉ちゃんまだ言ってるし……」

れんげ「傘持つの晴れてからじゃ駄目なん?」

小鞠「それじゃ意味ないの!!」グワッ

蛍「センパイ、私肩車しましょうか? それならセンパイの背が一番高くなりますし」

小鞠「ほたるぅ…」ジーン

夏海「それだと高過ぎて横からの雨に当たるし、ウチがれんちょん乗せた方が──」

夏海「あっ、その場合は身長的に姉ちゃんだけが横からの雨でずぶ濡れになるな」クク

小鞠「あああ~!! もうこの話やめっ!! いいよ、傘持つの諦めるから!!」 ガー

れんげ「こまちゃん、引くことでまた一つ大人になれたんな。偉いのん」ヨシヨシ

小鞠「うぅ…全然大人扱いされてる気がしないんだけど~」グスン

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/22(日) 22:27:12.68 ID:C2xTlLGv0
ピチャピチャ


夏海「……」

夏海「…あのさー、ほたる~ん」

蛍「なんですか、夏海先輩?」

夏海「何かウチんとこだけガード甘くない? 肩に雨当たりっぱなしなんですけど」

蛍「へっ!? すすすすみません!!!」ヘコリ

夏海「こんな狭い中でランドセルなんか背負ってるんじゃないよ」ググイ

蛍「あぅ」スルッ

夏海「こんなもんは姉ちゃんの頭にでもどけといてさ……」ギュム

小鞠「ぐぐっ、人の頭に物置くなよ!!」ムカー

夏海「ほ~ら、これでほたるんの後ろにスペース出来たじゃん!」

夏海「…と、いう訳でー」

夏海「ウチはほたるんの背中に引っ付かせて頂きまーす♪」ギュー

蛍「ちょ、ちょっと歩きにくい気もしますけど……夏海先輩が濡れないならこれで」

れんげ「じゃあウチはほたるんと手繋ぐん!」キュッ

小鞠「えっ、みんなが蛍とくっつくなら私も……って、もう蛍満席なの!?」ガーン

夏海「右手に傘、左手にれんちょん、背中にウチ乗っけてますからな~」

小鞠「それじゃ私は、えっと…え~っと……」ワタワタ

小鞠「ま、前!!」ピシャーン

夏海&蛍「…前?」


小鞠「──蛍、蹴らないでね? 絶対蹴らないでね?」ペッタリ

蛍「はい、絶対蹴りません!! …凄く歩きにくいけど、凄く幸せ♡///」キュンキュン

6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/22(日) 22:37:12.67 ID:C2xTlLGv0
夏海「姉ちゃんがほたるんの歩行を邪魔してるせいで一向に進まん……」ノロノロ

小鞠「ちょっと、私が嫌がらせしてるみたいに言わないでよ! …ねぇ、蛍?」ジトリ

蛍「はい、小鞠先輩は嫌がらせなんてしてないです!! 寧ろ、悦ばせ…──」ブロロロロ

バス「……」ブルンブルン

蛍「……」


蛍「…バスがっ!!!」ヒィィ

れんげ「なっつん、この距離じゃバスに 逃げられちゃうのん!!」

夏海「分かってる!! ほたるん、傘を!! れんちょんはウチの背中に!!」チョイチョイ

蛍「は、はい!!」スッ

れんげ「乗りましたん!!」ムギュ

夏海「よっしゃ!! 全軍、突撃ぃ~~っっ!!!」バサッ

蛍「急いで下さい、センパイ!!」ニギッ

小鞠「わ~、濡れる転けるぅ~!!」トテトテ


れんげ「……」

卓「……」

れんげ「なっつん、にぃ…」

夏海「うおおおぉぉぉぉぉおお!!!」

ダダダダダ






卓「……」ポツン

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/22(日) 22:44:17.57 ID:C2xTlLGv0
───────

──────

─────


夏海「はぁ…はぁ……。…ふぅ、何とか間に合ったな~」

夏海「ほたるん、こまちゃん、れんちょん、全員居るー?」チラリ

蛍「はい、大丈夫です…。こまちゃん先輩も…」

小鞠「2人してさり気なくこまちゃん言うな!!」ゼェゼェ

夏海「れんちょんも居るし……はぁ~、全力疾走したら眠くなってきた。寝よ寝よ」

小鞠「ここで~? さっきのでかなり濡れたし、風邪引いても知らないよ?」

夏海「んじゃ、バス着いたら姉ちゃん起こしてよ。姉ちゃん、寝ないんでしょ?」

小鞠「いや…。まぁ、濡れてんなら寝てても起きてても一緒か。私も寝ーよおっと」

夏海「そうこなきゃ! おじさーん、バス着いたらウチら起こして下さーい!」

蛍「あっ、私バスでは寝れないので起こしますよ~……あれ?」

れんげ「……」

蛍「何かあったの、れんちゃん?」

れんげ「あったというか…居たというか……」

れんげ「もう引き返せないからいいのん。バスも、時間も、前にしか進まないんよ」

蛍「? ? ?」

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/22(日) 22:47:21.21 ID:C2xTlLGv0
今回はここまで

引用元: れんげ「おおあめびより! なのん」