1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 08:42:21.51 ID:bnjPxtlk0
シャル「え?何て言ったのかな?聞こえなかったよアハハ...」

一夏「いや、俺も健全な男子高校生なわけだし、彼氏の一人や二人は居るってのがステータスじゃないか?だから俺も作ろうと思ってるんだ。」

シャル「つっこみ所が多すぎて困っちゃうよ一夏・・・・」

一夏「なんのことだ?つっこむ所なんてどこにもないぞ?」

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 08:48:08.66 ID:u9SGrmOS0
-シャルロット自室-

シャル「はぁ・・・」

ラウラ「・・・・・?どうした、シャルロット。」

シャル「い、いや!なんでもないよっ!?」

ラウラ「そのような返事をされると余計気になるが・・・あまり人の心内を探るものでもないか・・・。」

い、いくらなんでも一夏のことを話しちゃまずいよね!
ラウラから鈴・セシリア・箒の誰かに伝われば一夏は殺されかねないし。
でも僕一人でもどうしようもないし。そもそも一夏の性癖を僕がどうにかすることはできないよ・・・。
あ、ラウラって一夏のことを「嫁」って言ってるんだから、一夏を女の子だと仮定すれば全く問題無くなるよね!
・・・・でもそれじゃぁラウラと一夏がくっついちゃうし・・・・
どうしようもないことを考えても仕方がない。
わかってはいるもののシャルロットは今日の出来事について考えることを止められなかった。

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 09:02:50.44 ID:u9SGrmOS0
翌日

一夏「おはようシャルロット」

シャル「ビクッ・・・お、おはよう一夏。」

一夏「昨日弾に電話したんだがさ。あ、弾ってのは中学時代の男友達な。あいつが彼氏ってのもいいと思うんだ。」

シャル「へ、へぇー。」

どうしようっ!どうやら一夏は本当に男の子が好きになってしまったみたい・・・。

一夏「おっと」

シャル「きゃっ」

突然一夏が何もないところで躓く。少し前を歩いていた私に寄りかかり、なんとか転びはしなかったものの・・・

い、一夏!?男の子の体が触れてる!たくましくて、いい臭いが・・・。

一夏「おっとおっとおっとっとっと。悪いなシャル」

シャル「え?うん・・・。」

自分(女の子)の体に触れたというのに特に反応しない一夏に、少し苛立ちを覚えてしまった。

一夏・・・本当に男の子が好きになってしまったっていうの?

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 09:12:16.75 ID:u9SGrmOS0
その日の夜。

私は決意した。想い人を振り向かせるために。

この際一夏の性癖はどうでもいい。要は私、シャルロット・デュノアに惚れてくれさえすればいい。

こうしちゃいられない。あの制服どこにしまったっけ?


ラウラ「・・・ニヤリ」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 09:42:26.57 ID:u9SGrmOS0
翌日

一夏「よぉシャル・・・って・・・・は?」

シャル「おはよう一夏!」

一夏(・・・なんでこいつ・・・男の格好してんの?これじゃぁまるでシャルルに戻ったみたいな・・・)

シャル(うぅ~前男装した時はなんとも思わなかった(わけでもないが)のに見られるのが恥ずかしい・・・)

そう、今のシャルロットは一夏と同じ形の服、すなわちIS学園男子用制服を着用していた。

一夏&シャル「・・・」

千冬「何をつっ立っている。邪魔だ。」

シャル「す、すいません!」

千冬はシャルロットを軽く一瞥して教室へと入っていった。

シャル(何も言われなかった・・・?何で?)

不思議なことに教室に入っても誰も何も言わない。質問攻めにされると思っていたのだが、いつも通りに接される。

シャル(もしかして誰も・・・僕に関心ないのかな?ぼっちなのかな僕。人気者の一夏と一緒にいることが多いから妬まれて・・・)

ラウラ(フム・・・)

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 09:56:30.16 ID:u9SGrmOS0
授業中

千冬「つまりだ。ISの初代開発者の云々」

シャル「ん?」

ムクムクムク

シャル(へ?)

ムクムクムク

シャル(いやいや)

ムクムクムク

シャル(これ・・・・・何・・・・?急に股から生えて・・・・)

一見キノコのように見えるそれは長く、そして太くたくましかった。

シャル(これって・・・保健の教科書で見たことあるような)

なぜか思考がはっきりとしない。まるで夢の中にいるような、そんな感覚。

シャル(・・・・・・・!)

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 10:01:49.78 ID:u9SGrmOS0
シャル「ペ○スゥ!?」

ガタッ

立ち上がってそう叫ぶ。

一斉に一夏も含めたクラスメイトの視線が自分に集まるのが分かる。

シャル(え。まさかこれって・・・・なんていうのかな?つまり・・・)

シャル(夢?)

スパァン

状況を飲み込むのと織斑先生がシャルロットの頭を叩くのはほぼ同時だった。

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 10:12:27.18 ID:u9SGrmOS0
シャル(うぅ・・・授業中に寝てたなんて・・・。)

現在シャルロットは廊下で立っている。

シャル(まさかIS学園で旧時代的な罰を受けるなんて・・・)

思えば寝てしまったのも無理はない。彼女は男装用制服を探すの手間取り徹夜状態だった。

シャル(しかも皆も前であんな言葉を・・・。どうしよう・・・・。)

男が家族にオ○ニーを見られた時のような気持ちだった。


-教室-

ラウラ「教かn・・・織斑先生。」

千冬「行ってこい。」

クラスメイト女子「頼んだわよ」

ラウラ「あぁ。任せておけ。」

まるで戦争へ行くかのような真剣な顔で、ラウラは教室を出た。

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 10:16:36.51 ID:u9SGrmOS0
ガラッ

シャル(びくっ・・・・)

教室から出てきたのは銀髪の少女だった。

ラウラ「大丈夫か?変態」

シャル「ち、違うよ!そんな、違うよぅ・・・・」

ラウラ「何、分かっているさ。ところで何でお前は急に男装を?もう皆には女子と知れているのだからその必要はないだろう?」

シャル「う、うん・・・そうなんだけどさ。」

シャル(ここまで来たらとぼけるなんて無理だよね?)

シャル「実はね。かくかくしかじか」

シャルはラウラに一夏が彼氏を作ろうとしていることを告げた。

ラウラ「ほう・・・?だからってなぜ男装をする?わけがわからないぞ。」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 10:19:45.52 ID:u9SGrmOS0
シャル「そ、それはその・・・。」

ラウラ「まぁ、男が好きとなった私の嫁を自分に振り向かせたかったというところか?」

シャル「えぇっ!?ち、ちがっ・・・」

ラウラ「違うのか?」

シャル「違わないけど・・・・。って、分かってるなら聞かないでよ!ラウラのばかぁ・・。」

ラウラ(とりあえず嫁に好意を抱いているのは確認できた、か・・・。)

複雑な表情をするラウラ。それにシャルロットは恥ずかしさで気づかなかった。

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 10:34:09.05 ID:u9SGrmOS0
授業終了後

千冬「デュノア。放課後にお前は教室掃除だ。一人でな。」

シャル「は、はい・・・・。」

寝ていたのは自分。悪いのは自分。

素直に自分の非を認めるべきだ。そう一夏も言っていた。

その一夏も・・・男の子が好き。だから僕も男装をして気を引こうとした。未だ進展はなし。

シャル(ま、まぁまだ+も-もないし大丈夫だよね!大丈夫・・・・大丈夫)


-放課後-

シャル「つ、机が重い・・・・」

ISを開発できるくらいなら全自動机運び機能付きお掃除ロボを作ってほしい。

シャル「きゃっ・・」

机の重さに負けて転びそうになる。

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 10:42:11.76 ID:u9SGrmOS0
一夏「危ない!シャル!」

そう、それは何かのお話に出てくる王子様のようだった。

一夏は転びそうになったシャルロットを背後から抱きしめるようにして支える。

このような状況になってシャルロットは冷静でいられるわけもなく。

シャル「ぃいっ!?一夏ぁ!アワワ」

一夏「・・・・・・ポッ」

シャル(へ?頬が赤い・・・何この反応!?)

一夏(シャル・・・なんでこんなに可愛いんだお前・・・・)

シャル「ご、ごめん!」

一夏「お、おう」

ぎこちない空気。先日とは全く違う一夏の反応。

シャル(一夏は僕にドキッっとしたんだよね?でもそれは僕だけど僕じゃなくて・・・)

耐え切れない。無理だ。恥ずかしい。そしてなによりショックだ。

一夏は本当に男が好きになったのだ。そう考えると居ても立ってもいられなくなり、シャルロットは教室を勢いよく飛び出た。

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 10:54:47.23 ID:u9SGrmOS0
>>28
過去形というより完了?
ごめんよく分からない。


一夏「どうすんだよこれ・・・。」

一夏の目の前に広がるのはまだ半分も掃除が終わっていない教室。

一夏(千冬姉も無理言うよ。女の子にこれを一人でなんて・・・)

脳裏に先ほどのシャルの姿が浮かぶ。

一夏(可愛かった。シャルは可愛い。それは確かだ。覆しようもない。だが・・・)

首を横に振り、雑念を取り払う。

一夏(今あのことを考えてもどうにもならない。時が解決してくれるさ。シャル・・・。)

一夏「ま、俺がやるしかないわな。」

友達・・・・それ以上かもしれないが、とにかく大切な人のために一夏は掃除を始めた。

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 11:15:23.76 ID:u9SGrmOS0
シャル「はぁ・・・・・どうしよう。」
走りながらシャルロットは自分がしたことを悔いる。
シャル(掃除はしなかったしショックだしもうどうしたらいいの・・・)

ドンッ
誰かとぶつかる。ぶつかった感触からすぐにシャルロットは相手が男だと分かる。

シャル(IS学園に男の人・・・?一夏!?)

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 11:17:51.70 ID:u9SGrmOS0
???「いってぇ・・・あ、すんません!大丈夫すか!?」

シャル「は、はい・・・あなたは大丈夫ですか?」

上目遣いに尋ねてみる。怪我はしていないだろうか。

???「は、はい・・・・ボーッ・・・」

「はい」の「は」あたりでズッギュゥゥンという擬音が聞こえた。確かに聞こえた。

???「お、俺五反田弾って言います!以後よろしく!」

シャル(いきなり自己紹介・・・)

弾「君は・・・男性?どう見ても女性にしか見えない」

シャル(け、結構鋭い。)

弾「まぁこの際どうでもいっか。織斑一夏ってやつ知らない?」

シャル(それにもうタメ口・・・)

シャル「あ、その、・・・・1年1組の教室にいる・・・・かと・・・」

弾「そっか。サンキュゥス!」

シャル(弾・・・・弾・・・どっかで・・・・聞いたことあるっけ)

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 11:30:06.37 ID:u9SGrmOS0
シャルの回想

一夏「弾が彼氏云々」

回想終わり


シャル「この人が・・・・一夏を男色家に・・・・!」

弾「へ?何?」

シャル「許さない。ラファール・リヴァイブ」

粒子が体に纏わりつき、実体化していく。オレンジ色の鮮やかな機体が展開された。

弾「へ?へ?」

アサルトライフルを構える。射殺。コロシテヤル。よく一夏を・・・・!

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 11:58:03.16 ID:u9SGrmOS0
シャル「コロス!」

ズドドドッ 銃声が響く。

一夏「零落白夜!発動!」

アサルトライフルから出たエネルギー弾は一夏の雪片弐型によって消失した。

一夏「シャル!何してんだよ!」

シャル「い、一夏・・・・?」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 11:59:49.91 ID:u9SGrmOS0
目の前には一夏。一夏の後ろには弾。一夏と自分はISを展開。怯える弾。

この光景を目にしてシャルは自分が何をしようとしていたかを改めて認識した。

シャル「そんな・・・・・僕・・・・違う・・・でも・・・一夏が・・」

一夏「落ち着けシャル!大丈夫。お前はまだ何もしてない!」

弾「いやいや俺を殺そうとしたって」

一夏「お前は黙ってろ!」


シャル「うわあああああああああああああああああ!」

少女は駆け出した。逃げることはできないとわかっていながらも、そうせずにはいられなかったのだ。

弾「・・・・俺空気」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 12:06:58.23 ID:u9SGrmOS0
-IS学園最深部-

QB「ふふ。完璧だね。僕の予想を遥かに超えたエネルギーを入手できたよ。これも君たちのおかげさ。」

千冬「チッ・・・・用が済んだなら出ていけ。そして二度と来るな。」

QB「言われなくても分かってるさ。もう用はない。ここに居る意味もない。あとは君たち人間の仕事だよね。」

そういい残すと白いもふもふした獣は消え去った。

ラウラ「くっ・・・・納得いきません教官!あんなやつらの言いなりに・・・」

少女は叫ぶ。理不尽に耐え切れないように、全ての怒りを吐き出すかのように。

千冬「だがこれで茶番も終わりだ。あとはデュノアが立ち直るだけだが・・・・ここが一番の難関だな。」

ラウラ(シャルロット・・・・すまない・・・)

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 12:17:14.34 ID:u9SGrmOS0
-ラウラの回想-
QB「どうだい?織斑君とシャルロット。二人をくっつけたくないかい?」

私は悩んでいた。私は織斑一夏が好きだ。愛している。初めて私に人を好きになることを教えてくれた、大切な人。

だが友人のシャルロットも一夏のことが多分だが好きだ。私はシャルロットに一夏を譲るべきなのではないか。
シャルロットに譲れば一夏もシャルロットも幸せになれる。そのはずだ。シャルロットは容姿端麗成績優秀。嫌なわけがない。

だから・・・

ラウラ「その契約、乗ってやろう。それで?何か条件があるのだろう?」

QB「もちろんだよ。君の願いを叶える。その代わりにね。君の周り、シャルロット君以外に演技をするように言ってほしい。」

ラウラ「演技をさせてどうする?」

QB「そのほうがロマンチックにことが進むかもしれないよ?」

ラウラ「演技をしてくれと頼んでも了承はしてくれない人もいると思うが。」

特に織斑千冬。この人物がソレだ。

QB「その辺は僕がなんとかしておくよ。脅迫 とかね。」

ラウラ「貴様!」

QB「何か希望を得るためには同じ量の絶望が必要なのさ。それがこの世界の法則だよ。」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 12:27:32.85 ID:u9SGrmOS0
茜色に染まっていく空を純白のISが飛び回る。

シャルロットを探して。

一夏「先ほど受けたラウラの連絡によると、QBは逃げた。ならもうこのお遊びも続ける必要はない!」

一夏(お遊びにしちゃぁ犠牲が多すぎた気もするけどな)

一夏(このQBとのお遊びをシャルロットに説明すると多分、気まずくなるはずだ。周りの皆と。)

一夏(説明・・・・・・できるのか俺は。女の子にそんな残酷なことができるか?)

一夏「できねぇよ・・・・できるわけねぇよ!○ソ!」

白式システムメッセージ「目標を捕捉」

一夏「・・・今あいつに必要なこと。それは!」

白式は急降下する。大切な人に想いを伝えるために。

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 12:38:44.67 ID:u9SGrmOS0
一夏「シャル!」

シャル「!?」

ISを解除しているシャルロットが一夏から逃げられるわけもない。彼女はすぐに捕まった。

一夏「シャル!いや!シャルロット!」

シャル「な、なに・・・」

少女の目は絶望に満ちていた。無理もない。人を殺そうとしたのだ無意識に。

一夏「好きだ!男装してるお前もありのままのお前も!とにかく俺はシャルロット・デュノアが好きだ!」

シャル「・・・・そ、そうなの?」

一夏「あぁそうなんだよ!だから・・・その、なんだ!好きなんだよ!」

シャル「そ、そっか。これ告白だよね?」

一夏「それ以外に何があるんだ・・・」

シャル「そうだよね・・・。それじゃあ、うん・・・・ごめんね?」

一夏「え」

一夏(いやいやいやこのタイミングで断るわけ)

シャル「僕、一夏とは付き合えないよ。」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 12:42:01.43 ID:u9SGrmOS0
一夏「・・・・・」

シャル「僕は人間じゃないんだ。」

シャル「僕はね。インキューベーターに作られたクローン。もう命も長くない。一夏を騙すために作られたの」

一夏「は?え?は?ちょっと何言ってるのか分からないんだが。」

シャル「うん・・・。僕はインキュベーターに作られた人間、いや・・クローンなの。」

一夏「じゃぁ本物のシャルはどこへ・・・?」

シャル「本物も居ないよ。全部、嘘。僕は名前もないんだ。デュノア家の人間でもないの。クローンっていう言葉自体もおかしいかな」

一夏「嘘・・・・だろ?じゃぁ今まで俺と笑ったり話したり弁当食べたりしてたのは・・・?」

シャル「うん・・・・・僕。僕だけど・・・。」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 12:51:43.33 ID:u9SGrmOS0
一夏「そんな・・・・」

一夏(正直ショックだった。ショック以外の何者でもない。今まで時間を共にしてきた友が(なんつって)人間じゃない?

  (全ては俺を騙すため。調査するため。)

一夏「で、でもなんでインキュベーターが俺を騙そうとするんだよ・・・」

シャル「それは・・・・ね。思春期男子の希望が絶望へと変わる瞬間に得られるエネルギーは女子のソレを遥かに凌駕していたの。

   「だから一夏がターゲットに・・・・」

一夏「何言ってるのか・・何も分かんねぇよ・・・。今まで俺が接してたシャルは!全部演技だってのかよ!」

シャル「違うっ!そうじゃない!確かに!最初は演技だったよ!で、でも一夏は一夏は・・・・。」

一夏(クローン。あまり聞きなれない言葉。それが何なのか想像もつかない。親が居ない寂しさ?でもそれは俺も一緒・・・)

シャル「ぐすっ・・・・これ・・・一夏の感情エネルギーをこの装置の中に溜め込んでる。このエネルギー量はすごいよ・・・。」

一夏「・・・・」

一夏(何も・・・言えない。)

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 12:53:06.25 ID:u9SGrmOS0
-IS学園最深部-
千冬「・・・・・・」

ラウラ「っ・・・・」

千冬「一夏が・・・・・・本当のエネルギー採取対象だった・・・・?」

ラウラ「そんな・・・・シャルロットが・・・。」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 13:03:43.63 ID:u9SGrmOS0
シャル「それじゃあ・・・僕はインキュベーターのところに行くよ。用は済んだし・・・ね?」

一夏「・・・その後お前はどうなるんだ?またスパイみたいなことをするのか?」

少し冷静さが戻ってきた。ほんの少しだが。

シャル「うん。多分ね。でも一夏との、いや、このIS学園での記憶は抹消する。邪魔だからね。」

一夏「・・・その邪魔ってのはお前にとっての邪魔じゃないだろ?お前は記憶消去は嫌だと思ってるんだろっ!」

シャル「当たり前じゃないっ!そんなっ・・・一夏のこと忘れるなんて・・・嫌だよぅ・・楽しかったこと悲しかったこと焼きもちやいたこと・・・それを・・・」

一夏「なら逆らえばいい!インキューベーターに!」

シャル「・・・・え?」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 13:06:42.46 ID:u9SGrmOS0
QB「呼んだかい?」
どこからともなく白い獣が現れた。一見プ○キュアに出てくるマスコットキャラのようなそいつは俺から大事なものを奪っていこうとしている。

一夏「てめぇ・・・殺してやる。お前がいるから。全て・・・。」

QB「やれやれ・・・僕はちゃんと君たちに説明したよ?」

一夏「騙してたじゃねぇか!」

QB「君たち人間はいつもそうだ。認識の相違から生じた判断ミスを後悔する時 、何故か人間は、他者を憎悪するんだよね。わけが分からないよ。」

一夏「・・・・クソッ どうにかシャルを助けられないのか!もういいだろ!シャルは十分仕事をしたじゃないか!もう放してやれよ!」

QB「・・・・いいよ。分かった。(ニヤリ」
 「別に僕たちが新たな生命体を作ることは容易いことだからね。何も困らないよ。

一夏(使い捨てってわけかよ・・・・)

QB「じゃ、僕は退散するねー。頑張りなよー。」

辺りは暗くなっている。目の前には泣いているシャル。たとえ作られた生命でも、愛しく、俺の大切な「人」。

一夏「シャル・・・顔をあげてくれ。」

シャル「・・・?」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 13:09:47.04 ID:u9SGrmOS0
俺は・・・シャルにキスをした。

それだけでこいつが作られた命だということも何もかも忘れられた、気がした。

シャル「一夏・・・・もう一回・・・。」

一夏「あぁ・・・・」

QB(フハハハバカなやつめフハハ!)

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 13:14:42.80 ID:u9SGrmOS0
シャル「んぐっ!?あぁああぁぁぁあ・・・・」

一夏「!?どうした!シャル!俺の唇が尖ってたか!?」

冗談言ってる場合じゃないな。

QB「ふふ。また僕の思惑通りだよ。君ってホント馬鹿。」

一夏「なんだと?」

QB「彼女は消えるよ。まどろっこしいけどキスをすれば命を絶つようにしたのさ。」

 「どうだい?自分の手で自分の大切な人を殺すのは?愉快かな?」

一夏「・・・・・そんな・・・・」

シャル「・・・・・・大丈夫・・・。僕・・・私が消えても・・・・一夏は忘れないでしょ・・・?それだけで私は幸せ・・・・」

一夏「シャル・・・・なんで!なんでだよ!なんでそんな平然としてられるんだよ!死ぬんだぞ!?」

シャル「最後に一言・・・・愛してるよ・・・・一夏・・・・のぇっち・・。」

一夏「シャルウウウウウゥゥゥゥゥ!」

シャルはまるでISのように光の粒子となり、消えた。

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/24(水) 13:16:24.44 ID:u9SGrmOS0
QB「ねぇ?今どんな気持ちだい?ねぇねぇ!」

一夏「・・・・・」

QB「君からはかつてこの世界を滅ぼすと言われた子から得られるエネルギーを越えるものが得られた。どんな気持ちなんだい?感情を持たない僕としては興味深いね」


一夏「・・・・・あぁ・・・・・。」


完。

引用元: 一夏「そろそろ彼氏を作ろうと思うんだが」 シャル「え?」