1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/06/29(金) 20:44:38.71 ID:k1ibCawd0
伊良部「あー、大丈夫大丈夫、君が男性恐怖症だっていうことは心得てるから安心して~」

雪歩「そ、そうですか…ごめんなさい…」

伊良部「まあ立ってても仕方ないからほらほら座って座って~」

雪歩「………」

伊良部「あっ!紅茶がいい?普通のお茶がいい?」

雪歩「え…えっと…」

伊良部「な~んてね~、グフフフフ、雪歩ちゃんに出すのは飲み物じゃなくてお注射だから~」

雪歩「注射…なんですか…?」

伊良部「そそ、あ、注射をうつのは僕じゃないから安心してね~、同じ可愛い可愛い女の子だから」

伊良部「マユミちゃぁ~ん、お注射だよお注射~」

雪歩(こんな人で大丈夫なのかなぁ…)

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/06/29(金) 20:51:05.34 ID:k1ibCawd0
伊良部「こうしちゃおれない!美少女が美少女への注射なんて……ワクワクするなぁ!」

マユミ「………」

雪歩「……キレイな人…」

マユミ「…ありがと、ほら、リラックスして」

雪歩「は、はい」

マユミ「それじゃあさすよ、ちょっと痛いかもしれないけど」ツプ…

雪歩「大丈夫です……んっ!」

マユミ「………」

雪歩「んっ…んんんっ!…い…痛い…」

伊良部「あぁ…恐怖症じゃなければ…恐怖症じゃなければもっと近くに寄れたのにぃ!」


カラカーン…

雪歩「ふぅ…」

伊良部「くぅ~…なんて悔やまれるお注射タイムなんだ…」

雪歩「………」

雪歩(注射なんて必要あるのかな…)

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/06/29(金) 20:58:47.87 ID:k1ibCawd0
伊良部「え~っとそれでそれで雪歩ちゃんは世界で一番男の人が怖くて怖くてたまらないってこと?」

雪歩「そ、そういうわけじゃないんです!……ただ…少し苦手で…」

伊良部「男の人を目の前にしちゃったら一目散に逃げちゃう感じ?」

雪歩「……はい…最近はそれが多くて…」

伊良部「ふーん、でも僕の目の前に居るのにすっごく大人しいね……まさか僕に惚れちゃった!?」

雪歩「ち、違いますぅ!……今はプロデューサーがいるので…」

伊良部「プロデューサー?…ってまさか雪歩ちゃんってもしかして芸能人とかそういうお仕事についてるの!?」

雪歩「……はい」

伊良部「へぇ~…まあこんなに可愛かったらアイドルとかなのかな?」

雪歩「……はいぃ」

伊良部「うぇええぇっ!?アイドルなのぉー!うわぁー!すごいすごい!恐怖症じゃなかったら握手ねだってたところだよ!」

雪歩「ご、ごめんなさい…」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/06/29(金) 21:06:25.24 ID:k1ibCawd0
伊良部「うーん、今まで先端恐怖症の男の人がやってきたけど結局は…慣れる!っていう道を選んでしまったからね~」

雪歩「それじゃあ…治せる方法は無いって…」

伊良部「そんなことないよ、それにそのプロデューサーのおかげで少し改善してるっぽいじゃん、それこそ恐怖症を治せるっていう証拠だよ」

雪歩「はい…プロデューサーが相手なら普通に話したり、触れたり出来るので…」

伊良部「あらら?もしかして雪歩ちゃん、そのプロデューサーのことスキなの?」

雪歩「!?や、やめてくださいぃ!違うんですぅ!私はプ、プロデューサーにそんな…!」アタフタ

伊良部「ものすごい汗だね、それとあと雪歩ちゃん、僕って精神科だからさぁ……そういうのって案外分かるもんなんだよね、グフフフフ」

雪歩「!!……うぅ…そうでした…」

伊良部「まあでも、雪歩ちゃんの恐怖症は治せる、君のプロデューサーと僕が保証するよ」

雪歩「!…はい…お願いします…先生」

伊良部「うんうん、任せて任せて~」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/06/29(金) 21:12:54.22 ID:k1ibCawd0
伊良部総合病院、受付前

P「お、終わったのか?雪歩」

雪歩「はい…治せるはずって言ってました」

P「そっか…でも良かったのか?俺がついて来て…?」

雪歩「はい、プロデューサーは大丈夫ですから」

P「そ、そうなのか…いやぁ~、プロデューサーとしてはアイドルに信頼されるのはホントに嬉しいからな~」

伊良部「信頼というよりか好意なのにね~」

雪歩「…それは言わないで欲しいですぅ」

伊良部「何でさ?男性恐怖症なのにアナタだけは大好きなんです~…ってやったら確実にコロって落ちちゃいそうなのに」

雪歩「そんなこと言わないでください……プロデューサーはみんなのプロデューサーなんです…だから私なんかが…」

伊良部「……そう」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/06/29(金) 21:13:50.49 ID:AZ/8+Kl40
空中ブランコ懐かし!

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/06/29(金) 21:20:06.79 ID:k1ibCawd0
765プロ事務所

真「あっ!雪歩!どうだった?お医者さんに変なことされなかった?」

雪歩「だ、大丈夫だよ真ちゃん…いい人だったから」

真「よかったぁ…安心した…あ!冷蔵庫に雪歩の分のケーキ入ってるから」

雪歩「うん、ありがとう真ちゃん…」

伊良部「何だか僕のイメージって悪かったりするのかな…そうだったらどうしよう…」

雪歩「違うんです…真ちゃんはお医者さんが男の人って聞いて心配してくれたんです…」

伊良部「ああ、そっかそっか、雪歩ちゃんは業界の人からオススメされたんだね、僕を」

雪歩「はい…スゴい名医な人って聞きました…」

伊良部「ほほう、そうなのか~…グフフフフ…これは僕が芸能界デビューする日も遠くないかも……コネってスゴイよねコネって」

P「おーい雪歩ー、朝も言ったはずだけど三時からバラエティの収録あるからなー」

雪歩「は、はい!……大丈夫…です」

伊良部「………」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/06/29(金) 21:31:07.86 ID:k1ibCawd0
テレビ局

伊良部「で、大丈夫そうなの?バラエティって男の人もたくさん出るんでしょ?」

雪歩「……はい…」

伊良部「なんだか元気なさげに見えるけど?」

雪歩「………」

伊良部「……恐怖症っていうのはね、ただ怖がってるだけじゃ治るものも治らないんだよ」

雪歩「で、でも…先生は治るって…」

伊良部「だ・か・ら、自分からその恐怖している対象を受けいれようとしないと」

雪歩「……受けいれる…」

伊良部「そうそう、前にも言ったよね、先端恐怖症の男の人は結局先端がある日常に慣れる道を選んだ……その選択は本当はものすごく難しいことなんだ」

雪歩「………」

伊良部「怖いものから逃げず、その怖いものを…怖いからこそ、自分の中に受けいれる……だから彼は二度と僕の所へは訪れなかった」

雪歩「………」

伊良部「だから雪歩ちゃん…確かに君の恐怖症は治りはする、でも僕が治す訳じゃない…君自信で治すんだ」

雪歩「……私が…治す」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/06/29(金) 21:35:18.31 ID:k1ibCawd0
伊良部「僕も君の恐怖症が治るように出来る限るの手助けはするつもりだよ、そういう所は安心してね」

雪歩「……はい、私…頑張ってみます」

伊良部「うんうん、いい笑顔になってきたね、それこそアイドル、萩原雪歩だよネ!」

雪歩「でも先生、私のこと全然知らなかったような…」

伊良部「うっ!?…バレたぁ…?」

雪歩「ふふ…それじゃあ私…行って来ます…」

伊良部「うん、いってらっしゃーい、あ!ねぇねぇ雪歩ちゃん!サイン貰ってきて!ね!サインサイン!」

雪歩「………」

雪歩(受けいれる…私が…)

伊良部「………」

伊良部「ま、どうせ近いうちに芸能界デビューするんだし、いっか」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/06/29(金) 21:41:43.92 ID:k1ibCawd0
伊良部総合病院

雪歩「うぅ…受けいれようとしてもダメでしたぁ…」

伊良部「うーん…まあそうだよね、言葉一つで治ったりする例は確かにあるけど僕なんかが言っても……自分で言ってて悲しくなってきた」

雪歩「……先生…私の恐怖症ってやっぱり…」

伊良部「そんなネガティブなこと言っちゃダメだよ雪歩ちゃん…うーん…これはアレだね、男性という生き物を根本から見直すべきだね」

雪歩「根本…?」

伊良部「そうそう、男の人は本当は怖いものじゃないんだぞーっていうことを改めて分かってもらおう!」

雪歩「……怖いものじゃないのは分かってるんですぅ…」

伊良部「いいからいいから、ね?僕の言ってることを信じて、ね?ね?」

雪歩「…はい…分かりました……頑張ってみますぅ…」

伊良部「いよぉし!それじゃあビタミン補給してガンバろー!ってことでマユミちゃぁ~ん!お注射はやくー!」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/06/29(金) 21:48:27.58 ID:k1ibCawd0
カラカァーン…

雪歩「んっ…」

マユミ「………」

伊良部「あぁ…近いのに遠い…こんなにもどかしいものがあるなんて…」

雪歩(……この注射ってやっぱり必要ないんじゃ…)

伊良部「よしよーっし!それじゃあここの病院の患者さんに会いにいこっか?」

雪歩「ふぇっ!?い、今から何ですか!?」

伊良部「はい、今からスグです」

雪歩「ま、待ってください先生!わ、私…」

伊良部「んもぉう!つべこべ言ってないでアイドルなら市民に笑顔をばら撒かないと!ほらほら行った行った」

雪歩「うぅ……」

マユミ「………フッ」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/06/29(金) 21:56:16.15 ID:k1ibCawd0
患者「んん?おい伊良部さん、そこのべっぴんさんはどこで手に入れたんだ?」

伊良部「僕の患者だよ、アイドルの萩原雪歩ちゃん、知ってるでしょ?」

患者「ん~?……って…えぇ!?萩原雪歩ぉ!?」

雪歩「は、はいぃ…こんにちわ…」

伊良部「雪歩ちゃん雪歩ちゃん、笑顔笑顔」

雪歩「……分かってますぅ」ツツツ…

患者「いやぁ、アイドルを生で見れるなんて感動するなぁ……こんな体験が出来るなら俺も医者になろうかな…」

伊良部「君はもう就職してるでしょ、なんなら退院祝いは雪歩ちゃんの事務所の改築なんてどうかなぁ~?」

患者「退院祝いで働かされるなんてどんな冗談だよ、先生」

伊良部「グフフフフ~、でもしてくれたら雪歩ちゃんも喜ぶと思うな~」

雪歩「っ!……え、えっと…」

患者「ま、こんな天使のような雪歩ちゃんに頼まれたんなら仕方ねぇな!腕が鈍ってないか心配だなぁ~」

伊良部「いやいや、頼んだのは僕だし」

雪歩「………」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/06/29(金) 22:06:01.19 ID:k1ibCawd0
伊良部「で?どうだった?男の人と話してみて」

雪歩「……事務所の改築は必要ないですぅ…」

伊良部「グフフフフ、そっかそっか…でも彼はそういうことをする職業に就いてるからさ、言ってみたんだよ」

雪歩「………」

伊良部「で、どうだった?男の人って全然怖くないでしょ?」

雪歩「はい…でも私…男の人が怖くないってことは分かってます…」

伊良部「分かってはいる、でも怖い…そうなんでしょ?」

雪歩「………」

伊良部「気持ちでも受けいれきれず、人のいい男の人と面と向かって話してもやっぱり怖いと認識してしまう……か」

雪歩「………」

伊良部「それじゃあさ、雪歩ちゃんはどうやってプロデューサーを怖くないように思えたんだろうね」

雪歩「!」

雪歩(……プロデューサー…)

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/06/29(金) 22:14:03.99 ID:k1ibCawd0
765プロ事務所屋上

P「ん?どうした雪歩?相談って」

雪歩「………」

伊良部「こんなところに呼び出すなんて、男性恐怖症の雪歩ちゃんとは思えないね」

雪歩「プ、プロデューサー…」

P「…うん、何だ?雪歩」

雪歩「……私…私…やっぱりプロデューサー以外の男の人は今も……怖いですぅ…」

P「………」

雪歩「皆に迷惑掛けたくないし…お仕事にも影響があるから……治したくて…でも…」

P「……やっぱり治らないのか?」

雪歩「……分かりません…でも…先生も困ってました…私の男性恐怖症が良くならなくて…」

P「………」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/06/29(金) 22:23:35.37 ID:k1ibCawd0
伊良部「……さぁ~て、どう出るのかな、プロデューサーさん」

P「…雪歩」

雪歩「は、はいぃ…」

P「……治らなくても別にいいんじゃないか?」

雪歩「……えっ…」

伊良部「………」

P「俺だって怖いものはある、ベタだけど幽霊なんて想像するだけで怖い…雪歩はそれが男の人ってことなんだろ?」

雪歩「………はい」

P「それならそのままでいいんじゃないか?誰にだって怖いものはある、雪歩はそれが男の人……だったら無理して治す必要は無いと俺は思うよ」

雪歩「で、でも!……男の人が苦手なアイドルなんて…」

P「そんなの関係ない、雪歩は雪歩、アイドルのイメージなんて関係ない」

雪歩「………」

P「だから無理するな雪歩……それにもし治したくてもそんなに急がなくていいよ…俺や皆が居る…一緒に頑張ろう、な?」

雪歩「はいぃ…ありがとうございます…プロデューサー…」

伊良部「………」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/06/29(金) 22:28:42.63 ID:k1ibCawd0
伊良部総合病院

伊良部「それで…君も選択したのかい?」

雪歩「はい…私も男の人たちに慣れてみます…プロデューサーや皆と一緒に」

伊良部「ふーん、そっか…それじゃあ頑張ってね~」

雪歩「……あれ…先生、今日は注射無いんですか?」

伊良部「うん、今日はマユミちゃんが不在でね~…はぁ…美少女の競演を最後にもう一度見ておきたかったのに…」

雪歩「……そうですか……先生、今までありがとうございました…とても助かりました」

伊良部「いよいよ~、また色んなところに僕の噂を流してさえくれれば」

雪歩「………」

ぎゅっ

伊良部「うわゎわぁっ!?」

雪歩「私…もっと頑張ってトップアイドルになります……だから先生…それまでちゃんと見守っててくださいです!」

伊良部「うぇえっと……は、はい…雪歩ちゃんの担当医として頑張りたいと思います…」

雪歩「ふふ、ありがとうございます、伊良部先生」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/06/29(金) 22:39:12.33 ID:k1ibCawd0
765プロ前

高木「いやぁ、今回の件ありがとうございました伊良部先生」

伊良部「いいんですよ、今回は僕もあんな可愛い女の子と触れ…合った気はあんまりしないけど…」

高木「そうですか…でも先生のおかげで最近は私にもあまり警戒しないで話しかけてくれるので……」

伊良部「僕もビックリしましたよ~、まさか最後の最後であっちから手を握ってくるだなんて……ドキドキして何て喋ったのか覚えてませんよ…ホント心臓に悪い」

高木「……彼女は変わりましたよ…アイドルとして…萩原雪歩としても」

伊良部「うーん…そんなに大げさなことですかねぇ?確かに僕の前では笑ったりしなかったけど…」

高木「大げさだなんて、彼女を見ていれば分かりますよ、ほら」


雪歩「あっ…来ていたんですか…先生」

伊良部「!…雪歩ちゃぁーん!久しぶり~!」

雪歩「ひっ!?……相変わらずですぅ…先生は」

伊良部「うん、雪歩ちゃんも相変わらずの可愛い悲鳴で安心したよ……それじゃあ改めて、こんにちわ、雪歩ちゃん」

雪歩「はい、こんにちわ……先生」ニコッ

終わり

引用元: 伊良部「いらっしゃぁ~い」雪歩「ひっ!」