1: SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) 2012/01/01(日) 22:44:24.49 ID:ALIE1oS8o
これまでのあらすじ、という名の前書き
ワルプルギスの夜に打ち勝ったまどか達は
神様の粋な計らい(※奇跡)で魔法少女から元の人間に戻り
ついでに魔女やらなんやらのしがらみもさっぱりリセットして平和を取り戻したのであった。
これは平和な日常をまったり過ごしたりしなかったりしつつ
教会でのんびりシスター兼司祭(?)やってる杏子(15)がたくさんの人のお悩み相談を受けるお話
である(はず)。
2: 杏子×教会 2012/01/01(日) 22:45:26.72 ID:ALIE1oS8o
/*/
―――風見野のとある教会にて。
杏子「んっんー、今日もいい天気だなぁー」
杏子「こーいう日はあれだなぁ、うん。あれだな」
杏子「眠くなるわ……」 フワァ
杏子「そもそも教会の運営はみんなが手伝ってくれてるしなぁ」
杏子「……」
杏子「……」 コックリコックリ
杏子「はっ!」 イカンイカン
杏子「……」 コックリコックリ
杏子「はっ!」 イカンイカン
杏子「……」 コックリコックリ
杏子「……」 スヤスヤ
スタッフ「いつまでやってるんですか」 ペシッ
杏子「いてっ!」 ウゥー
3: 杏子×スタッフ(モブ) 2012/01/01(日) 22:47:25.17 ID:ALIE1oS8o
杏子「朝の祈りが済んだからちょーっとうたたねしてただけなのに」 ムゥ
スタッフ「そう言って気がついたら夜になってたこともありましたよね」
杏子「うっ……あれはほら、教会の大掃除した翌日だったし」
スタッフ「仮にもこの教会の代表者なのですから、もっとそれっぽく振舞ってください」
杏子「アタシそーいうの苦手でさー……そもそもこの年齢で教会運営するってどーなの?」
スタッフ「あなたがそれを望んだのでしょう」
杏子「そりゃそーだけど。まーいいや、もう起きたからあっち行ってな」
スタッフ「はぁ……私はスケジュールの方確認してきますから、もっとシャキっとお願いしますね」 スタスタ
杏子「あーい」
杏子「……やっぱムリ、ねみーもん」 ウトウト
杏子「でもボランティアで来てくれてるやつらばっか働かせてもダメかぁー」
杏子「ウッシ! ガンバルぞー!」
杏子「……あと五分したらね」 ウトウト
スタッフ「おっほん!!」 ギロッ
杏子「ひぅっ!? は、はい起きてます!!」
4: 杏子×スタッフ×来訪者 2012/01/01(日) 22:48:34.84 ID:ALIE1oS8o
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スタッフ「本部の方から神父を招かないかとの催促が来ておりますが」 パラパラ
杏子「却下却下、アタシが目指してんのはガッチガチの教会じゃないっての」
スタッフ「谷原神父は教義第一ではなく自由な信仰を良しとしていますが、よろしいので?」
杏子「よろしいのさ」 ケラケラ
スタッフ「はぁ……良識ある匿名の方からの寄付金がなくなったらやってけませんよ、うち」
杏子「そん時はそん時さ。親父の二の舞にだけはならないから安心しなよ」
スタッフ「やれやれ」
杏子「ねみーなぁー」 ウトウト
スタッフ「あなたはナマケモノか何かですか? ……おや」 パチクリ
杏子「……まみさぁん……」 コックリコックリ
スタッフ「起きてください、誰か来ましたよ」
杏子「うー……相手しといてぇ……」 ウトウト
スタッフ「ダメです、あなたがしっかりとお相手してください」
杏子「んー……」 ヨロヨロ
5: 杏子×中沢 2012/01/01(日) 22:49:21.93 ID:ALIE1oS8o
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杏子「誰かと思ったら中谷かよ、久しぶりじゃん」 ヨーッス
中沢「中谷じゃなくて中沢だよ」 オーッス
杏子「どっちでもいーや。ていうかアンタなんでここにいんの?」
中沢「どっちでも……まぁいいけどさ。用があるから来たんだよ」
杏子「わざわざ隣町まで足運ばなきゃならない理由? ちょい興味あるね」
中沢「そりゃどうも。でもその前に……お前最近どうなんだよ?」
杏子「なにがー?」 フワァ
中沢「見滝原中学校に転入してきたと思いきやすぐに実家の家業を継ぐとか言って学校辞めてからさ」
杏子「なんで説明口調なのさ」
中沢「いやなんとなく」
杏子「なんとなくってなに? 気になるんだけど」
中沢「いやぶっちゃけどうでも良くない?」
杏子「ぶっちゃけどうでも良いや」 ウン
中沢「それはそれでなんか悔しいなおい!」
杏子「声デケーよ、主の御前だよ? 教会ではお静かに」
中沢「あ、うん」
6: 杏子×中沢×買収 2012/01/01(日) 22:50:17.86 ID:ALIE1oS8o
杏子「悩みを聞いて欲しいって……あのねぇ、こちとら慈善でシスターやってんじゃねぇんだぞ!」
中沢「声デカイって、神様見てるから教会では静かにしろよ」
杏子「あ、うん」
杏子(あれ?)
中沢「で、悩みなんだけどさ」
杏子「いやだから他当たりなって。教会はチャイルドラインじゃない――」
中沢「おっとこんなところにうんまい棒が十本も」
杏子「――けど主に代わって迷える子羊に道を示してやるのもシスター(?)の仕事だしな!」 ウン
中沢「さっすがシスターさん、チョろいぜ!」
杏子「ほへふあお(褒めるなよ)、へれひゃうひゃん(照れちゃうじゃん)」 サクサク
中沢「褒めてないからね」
杏子「褒めてよ……」 ウッ
中沢「ああ分かった分かったお前は偉い、偉いよ!」
杏子「だろ? 伊達にシスター(?)やってないっての」 フフン
中沢(こいつめんどくせぇ……)
7: 杏子×中沢×クラス 2012/01/01(日) 22:50:52.34 ID:ALIE1oS8o
杏子「クラスのことで悩み?」
中沢「イエス」
杏子「良いクラスじゃん」
中沢「うんそうなんだけど」
杏子「良かったな、じゃあ帰れ」
中沢「いやいやここからだから!」
杏子「えぇ……」 エー
中沢「えぇ……」 エー
杏子「ダメ?」 チラッ
中沢「当たり前でぇーす」
杏子「ちぇっ。まあいいさ」
杏子「アンタの悩み、聞いてやるよ」
8: 杏子×中沢×意見 2012/01/01(日) 22:51:43.13 ID:ALIE1oS8o
中沢「ほら、うちのクラスって濃いだろ?」
杏子「お嬢様にバカにクールに鈍感にお人好し……確かにね」
中沢「さらに好みが両極端で、この前も科学の授業中に好きなロボットアニメの話になってさ」
杏子「勉強しろよ」
中沢「ドラグナーこそが至高って主張する美樹と志筑と暁美が中心のグループがいてさ」
杏子「そこツッコむところ?」
中沢「ダグラムこそ究極って主張する鹿目と上条のグループもあったんだよ」
杏子「なんか色々とおかしくね?」
中沢「意見が真っ二つに割れると中立派を自分のグループに引き込む流れになるだろ」
杏子「あーあのメンドイやつ」
中沢「んで俺に白羽の矢が立つじゃん? もうアレ言うしかないじゃん?」
杏子「ああ! あの……どうでもいいとか、よくないとかだっけ?」 チラッ
中沢「……」
杏子「どっちだっけかなぁー」 チラッ
9: 杏子×中沢×どっちでもいい 2012/01/01(日) 22:52:29.74 ID:ALIE1oS8o
中沢「――どっちでもいいんじゃないかな!」 キリッ
杏子「おぉぉー!」 パチパチ
中沢「続けて良い?」
杏子「うん」
中沢「その時はまぁ流れで言ったけどさ」
杏子「言ったのかよ」
中沢「そりゃ言うだろ」
杏子「ちなみにアタシはダンバインかな。パトレイバーもいいね。アンタはどっち?」
中沢「どっちでもいいです」
杏子「チッ……アンタとは馬が合わないね。やっぱ帰りな」 ケッ
中沢「まだ悩み事すら打ち明けてないのに!?」
杏子「じゃあ打ち明けてから帰りな」 ハンッ
中沢「帰るのは確定事項なの!?」
10: 杏子×中沢×遊び 2012/01/01(日) 22:53:33.78 ID:ALIE1oS8o
中沢「話を戻すけど、実は俺ドラグナーの方が好きなんだよね」
杏子「じゃあそう言えば良かったじゃん」
中沢「でもそういうのってKYじゃないか?」
杏子「いまどきKYなんてコギャルでも使わねーし。ってかなんでKYになるわけ?」
中沢「いやほら……なんでだろ? というか何を相談したかったんだっけ?」 ハテ?
杏子「……」
杏子「おっし決めた。遊びに行こーよ!」 ウン
中沢「は?」
杏子「いいからいいから、ほら行くよ!」 ガッシィ
中沢「ちょっ、首押さえるな! というか当たってる当たってる!」 ググゥ
杏子「うっせーなぁ、きびきび歩く!」
中沢「だからまずなんで遊びに行くことになるんだよ!?」
杏子「いいじゃん減るもんでもないし」
中沢「愛と違って時間は有限だよ!?」
11: 杏子×中沢×ゲーセン 2012/01/01(日) 22:54:30.59 ID:ALIE1oS8o
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―――見滝原市のとあるゲームセンターにて。
杏子「やっぱ遊びと言ったらゲーセンだよねぇ」 フフン
中沢「なにも見滝原まで来なくてもいいだろ、街荒れてるし」
杏子「風見野のゲーセンはシケてんのさ。やっぱ全国でもトップクラスの見滝原じゃないとね!」 キラキラ
中沢「……まあいいけどさ」
杏子「にしても人少なくない?」 キョロキョロ
中沢「日中は復興作業で忙しいからな。夕方になると娯楽施設は人で賑わうんだけど」
杏子「ああーそっか。んじゃさっそく遊ぶとしますか!」
中沢「マジで遊ぶの?」
杏子「当たり前じゃん! アンタはDDRと太鼓の達人、どっちやりたい?」
中沢「……んー、どっちでもいいよ」
杏子「じゃDDRね! 早く行こうよ!」 ワクワク
中沢「あんまはしゃぐなよ、恥ずかしいだろ」 ソワソワ
杏子「知ってるかい? 愛と違って時間は有限なんだよ?」 フフン
中沢「それさっき俺が……もうなんでもいいや」 ハァ
12: 杏子×中沢×不敵な笑み 2012/01/01(日) 22:55:33.68 ID:ALIE1oS8o
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杏子「ほっ、はっ、ふっ、へい!」 カワシタヤークソクー
中沢「上手いじゃん! すげぇ!」 ワスレーナイヨー
杏子「ふふん、それ、ほど、でも!」 メーヲトジータシカメルー
中沢「やっぱお前運動神経良いよな、部活やってたっけ?」 オシヨセータヤミー
杏子「棒術と、槍投げに、畑耕し、それからケンタウロスのポーズとか!」 フリハーラッテスースムヨー
中沢「後ろ二つなんかおかしくね?」
杏子「そうかな――っと! ヘヘッ、パーフェクトぉ~!」 フフン
中沢「お疲れー、おめでとー」
杏子「どーいたしましてってね。次はアンタの番だよ」
中沢「うっ……分かったよ、やぁってやるぜ!」
杏子「ダンクーガとか古いから。茶番は良いから早くしな」
中沢「ちぇっ」 ブー
杏子「……」
杏子「ははーん」 ニヤッ
13: 杏子×中沢×へたくそ 2012/01/01(日) 22:56:38.98 ID:ALIE1oS8o
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杏子「ひひっ、くっ、くくく……あはははっ!」 ゲラゲラ
中沢「まだ笑ってるの……?」 ゲッソリ
杏子「い、いや、笑うしかないでしょ! 一曲中に難解足もつらせてんのさ!」 ハハッ
中沢「ああいう体動かすゲームは苦手なんだよ」 チェッ
杏子「あはは……あーわるいわるい、笑いすぎた」
中沢「ふん、どうせ俺はリズム感ゼロですよー」 ツーン
杏子「リズム感っていうか運動神経だね、動き自体は悪くなかったよ?」
中沢「ほ、ほんとか!?」 パァァ
杏子「アタシが信用できないかい?」
中沢「うん」
杏子「……」 グスッ
中沢「ああ嘘! 信用できる、信用できるよ!」
杏子「ホントか?」 パアッ
中沢「ほんとーだよ!」
杏子「よーしよし! じゃあ次行こうよ次! レースゲームな!」 キャッキャッ
中沢「……やっぱ変わったよなぁ、あいつ」
14: 杏子×中沢×気がつけばあっという間に 2012/01/01(日) 22:57:09.54 ID:ALIE1oS8o
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――何時間か後。
中沢「……!」 ドドドンドーンドン
杏子「おー? やるねぇ」 ドドンードンドン
中沢「結構……やりこんでますから!」 ドーンドンードドンドン
杏子「じゃあ最初から太鼓の達人好きだって言えばいいじゃん」 ドンドドンードンー
中沢「なんとなく……言い出しにくいというか!」 ドドンードンドンドーンドンドンー!
杏子「ふーん」
中沢「ふぅー、これでも八割強か。ほらこれ、次お前の番だろ」
杏子「ん? あぁアタシはいいや、それよりお腹空いちゃったよ」
中沢「……もう三時か。DDRにレースにシューティングにクレーンに結構やりこんでたもんな」
杏子「そんじゃ今からメシ食いに行こーよ、喫茶店で良いからさ」
中沢「そうだな、俺もちょっと疲れたしそうしようか」
杏子「なーに食べよっかなー!」 ワクワク
中沢(前ほど間食してないけど、こういうところは変わってないんだなぁ) ボー
杏子「ほらほら、なにしてんのさ? はやくはやく!」
中沢「あっうん!」
中沢(今気付いたけどこれデートじゃね?)
15: 杏子×中沢×気がつけばあっという間に 2012/01/01(日) 22:58:01.56 ID:ALIE1oS8o
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――見滝原市のとある喫茶店にて。
杏子「喫茶店で食うオムライスってどうして高級そうに見えるんだ……?」
中沢「喫茶店で食べるカレーライスは食べるのが勿体無く思えるよな」
杏子「いやべつに」 モグモグ
中沢「ノリわるくね?」
杏子「いやほら、どっちでもいいじゃん」 モグモグ
中沢「どっちでも……いいかな」 モグモグ
杏子「そうそう、どっちでもいいんだよ――ってことでもーらいっ!」 モグモグ
中沢「わっばか、横取りすんな!」 ガバッ
杏子「えー、どっちでもいいじゃん」
中沢「どっちでも……いやいやそれとこれとは話が別じゃないか?」
杏子「そうかい?」
中沢「そりゃそうだろ。まぁ一口くらいならやるけど」
杏子「……」
中沢「どした?」 ンンー?
杏子「そこだね。さっきのゲーセンの時の反応と今の反応で掴んだよ」
中沢「は?」
16: 杏子×中沢×どっちでもって 2012/01/01(日) 22:58:42.84 ID:ALIE1oS8o
杏子「ズバリ!」
杏子「アンタの『どっちでもいい』は安易な逃げだね!」
中沢「逃げ?」 モグモグ
杏子「アンタが『どっちでもいい』キャラで通ってることはアンタもクラスも百も承知だろ?」
中沢「まぁそうかもな」 ゴクゴク
杏子「アンタはそれを知ってるからこそ、クラス内の意見対立の際に自分を前面に押し出せなかった!」
中沢「へぇ。あ、お冷おかわりお願いしまーす」
ウェイトレス「かしこまりました」 ト...
杏子「アンタはクラスの和を乱さないよう努めてたんだね」
杏子「優しいからか、期待を裏切るのが怖いからかは知らないけど」
中沢「ふーん」 モグモグ
杏子「そうやってアンタがその回答をすることで確かに場は収まるかもしれない」
中沢「うんうん」 グビッグビッ
杏子「しかし!」
中沢「ああうんそうだね」 クッチャクッチャ
杏子「そろそろぶっとばすぞテメェ」
中沢「ごめんなさい」
17: 杏子×中沢×理想のクラス 2012/01/01(日) 22:59:47.99 ID:ALIE1oS8o
杏子「もうちょい自分を前に出しても良いんじゃないの?」
中沢「んー……なんかそれって違わね?」
杏子「違わないよ。あとアンタ、KYとか言ってたけどさ」
杏子「アンタのクラスはそんなことで空気がぶち壊されるクラスかい?」
中沢「あー、それは違うな」
杏子「さやかも、まどかも、ほむらも仁美も上条も……みんな良いヤツじゃん?」
杏子「最初は驚くかもしんないけど、すぐに笑って議論ふっかけてくるだろーね。理想のクラスじゃん」
中沢「かもなぁ」 ハハッ
杏子「もちろん、時には空気を読む必要があるかもしれないけどさ」
杏子「そういう時はそういう時でまた考えれば良いんだ。アンタには考える時間と余裕があるんだからさ」
中沢「佐倉……」
杏子「アンタたちはもう三年生だ。卒業したらもう二度と会うこともないヤツだって出てくるかもしれない」
杏子「そん時になって、親身になってあげればとか、本気でぶつかりあっとけばとか、後悔しても遅いんだよ」
中沢「……うん」
杏子「まっなんだ。残り少ない中学校生活、心の底から楽しみなよ」
中沢「ああ、そうするよ」
18: 杏子×中沢×ありがとう 2012/01/01(日) 23:01:12.01 ID:ALIE1oS8o
中沢「今日はありがとう。心なしか肩が軽くなった気がするよ」
杏子「おかげさまでこっちはクタクタだよ……」 ネミー
中沢「そりゃこっちの台詞だろ」 ハァ
杏子「アタシのせいだって言うのかい? アンタのせいでしょ?」
中沢「あー……まあどっちでもいいよ」
杏子「ふーん」 ニヤッ
中沢「わ、笑うなよ!」 カァッ
杏子「じゃっアタシは帰るとしようかな。教会にゃ夏休みなんてないから忙しーし」 フワァ
中沢「お疲れさん……あ、そうだ佐倉」
杏子「なんだい中山」
中沢「中沢だ。ほら美樹のやつがえーっと、マミさん? のとこに顔出さないのよねーとか愚痴垂れてたぞ」
杏子「あー」
中沢「まぁよく分かんないけど、顔出してやれよ。じゃあまた今度な」 フリフリ
杏子「んー、善処しとくよ。じゃあね」 フリフリ
杏子「とは言ったものの……どーすっかなぁ」
19: 杏子×スタッフ×帰宅 2012/01/01(日) 23:02:07.88 ID:ALIE1oS8o
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―――風見野のとある教会にて。
杏子「たっだいまー」
スタッフ「遅いです!」 ズイッ
杏子「うわっ! いきなり怒鳴らないでよ、ビビっちまったじゃん」
スタッフ「貴女はこの教会の責任者であり司祭の代わりであり、いくらでもお勤めがあるのです!」
スタッフ「聖書を読み直し説教を考え、事務、各施設の訪問にあなたのお父様の教えの研究!」
スタッフ「そしてなにより、来訪された信者の方々へ感謝の意を表して接しなければならないのです!」
杏子「分かってる分かってる、だからちゃんとアイツの悩み解決してきたよ」
スタッフ「よろしい、それではさっそく正装をしてください。夕の祈りの準備があります」
杏子「アタシああいうの嫌いなんだけど……ほら、親父の遺志を継ぐためにも祈りとかそういう、のはぁ……」
スタッフ「……」 ゴゴゴゴ
杏子「いや! やるべきだよな! うん! 祈りって大事だよね! 着替えてきます!」
スタッフ「まったく……」
20: 杏子×スタッフ×学校 2012/01/01(日) 23:03:11.07 ID:ALIE1oS8o
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―――夕食後。
スタッフ「今日訪れた方はご学友ですか?」
杏子「元ね。この年齢でも教会を任せてもらえるって聞いてガッコー辞めちゃったからさぁ」
スタッフ「ですが貴女も年頃の少女、学校には通いたいでしょう。やはり神父を招くべきでは?」
杏子「嫌だよ。だったらこんな教会取り潰してもらうさ」
スタッフ「……はぁ。頑固ですね」
杏子「こーいうところは親父譲りなんだよ」
スタッフ「やれやれ」
杏子「そういやアンタそろそろ時間だろ?」
スタッフ「……そうですね。私も家に帰らねば」
杏子「んじゃまた明日。朝の祈りの時にね」
スタッフ「明日は用事があるので昼からになります。お祈りは他の方とご一緒にどうぞ」
杏子「ああそっか、他のスタッフとなるとぉー、んー」
杏子「まぁなんでもいいや、眠いし」 フワァ
スタッフ「眠たがりやの貴女に主のご加護があらんことを。それではまた明日、おやすみなさいませ」
杏子「おやすみー」
21: 杏子×おやすみ 2012/01/01(日) 23:04:11.15 ID:ALIE1oS8o
杏子「明日は朝の祈りに日曜のミサに、事務に慈善活動に……結構忙しいね」
杏子「やっぱスタッフに任せすぎだよねぇ。普通の教会だったら破門されてるか」
杏子「う~~~ん……」
杏子「……」
杏子「……まぁ……明日考えればいっか……」 ウトウト
杏子「たまにはさやかたちとも会わなきゃいけないし……」 ウトウト
杏子「あとマミさんとこにも顔を出さなきゃ……」 ウトウト
杏子「……」 ウトウト
杏子「……おやすみなさい……」
/*/
24: SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) 2012/01/02(月) 02:05:16.79 ID:Xd8Qpp3qo
乙
あんこちゃん可愛い餌付けしたい
あんこちゃん可愛い餌付けしたい
28: 杏子×日曜のミサ 2012/01/05(木) 01:30:26.17 ID:G22EsI8io
―――朝の教会にて。
杏子「――では、イエズスに代わって……」
杏子「皆さん、これ(ホスチア)を取って食べなさい。これはあなたがたに渡される私の体である――」
子供(きょーこねーちゃんの体ってあんなに薄いの? ひんにゅーなの?)
母親(しーっ。そういう儀式なの)
杏子「……」 ピクピク
杏子「皆さん、これ(ぶどう酒)を受けて飲みなさい。これは私の血の杯、あなたがたと多くの人々のために――」
子供(きょーこねーちゃんってお酒飲めるの? 血がお酒ってアル中かなにかなの?)
母親(しーっ。あれはアルコールの入っていないジュースなの)
杏子「……」 ピクピク
29: 杏子×スタッフ×お酒は二十歳から 2012/01/05(木) 01:32:09.90 ID:G22EsI8io
杏子「決めた、次からはぶあついパンに本物のぶどう酒飲んでやる……!」 カァーッ
スタッフ「そこまで恥ずかしがらずとも良いでしょう」
杏子「いーやダメだ! こういうところでビシっとやらないとダメなんだよ!」
スタッフ「ぶあついパンを食べる司祭がどこにいますか。それにあなたは子供です」
杏子「はん、心は大人だよ!」 ヘッ
スタッフ「甘酒で酔っ払って道路に寝そべっていたあなたには早すぎます」
杏子「ぐぬぬぬ……!」
スタッフ「信者もアルコールに弱い方は口にしませんし良いではないですか」
杏子「それはアルコールに弱いからでしょ! アタシは子供だからって理由じゃん!」
スタッフ「事実、あなたは子供でしょう」 スミマセーン!>
杏子「ああああああもうッ!」
スタッフ「声が大きいです。そんなことよりお客さんがお見えしていますよ」
杏子「機嫌が悪い、相手しといて」 プイッ
スタッフ「大人ならここで自分から出向かれるのですが、子供のあなたでは仕方ありませんか。では――」
杏子「ちょっストップ! アタシが行く! 今行くよー!」
30: 杏子×仁美 2012/01/05(木) 01:33:00.26 ID:G22EsI8io
杏子「なんだいなんだい、誰かと思ったら仁美かぁ! 久しぶりー、元気そうじゃん」
仁美「お久しぶりでございます、杏子さんもお変わりないご様子で」
杏子「うん、いつもどおり元気――いや!」
杏子「成長してるよ!? 心も体も成長期だからね!? 当たり前じゃん!?」 アタフタ
仁美「はい? え、ええ、そうですわね、成長期ですものね」
杏子「そっ、そんなことより今日はどうしたのさ? 洗礼でも受けにきたのかい?」
仁美「いえ、そういうわけではないのですけど……」
杏子「じゃあアタシの顔色見に来てくれたのかい?」
仁美「いえ、そういうわけでも……」
杏子「……」 ウルウル
仁美「ち、違いますわ! それもあります、あるんですの!」
杏子「なーんだ、そうですのかぁー」 ヘヘッ
仁美「……」 イラッ
31: 杏子×仁美×悩み相談 2012/01/05(木) 01:33:36.49 ID:G22EsI8io
仁美「実は先週、見滝原中で夏休みに開かれる特別授業がありまして」
杏子「あー、あの大半の生徒は行かないヤツね。お金かかるし」
仁美「その際に中沢くんにお会いしましたの」
杏子「へぇ、中村と?」
仁美「いえ、中沢くんと」
杏子「あぁ、中岡?」
仁美「いえ、あの……まぁどれでもいいですわね」
杏子「どれでもいいですの!」
仁美「それで杏子さんにお悩みを相談したところ、無事解決してくれたとのお話をお聞きしまして」
杏子「あのお喋り屋が……」
仁美「あの、ご迷惑でしたかしら?」
杏子「とんでもない、大歓迎さ!」
仁美「それでは……」
杏子「アンタの悩み、聞いてやるよ」
32: 杏子×仁美×二つの高校 2012/01/05(木) 01:35:03.91 ID:G22EsI8io
杏子「そんで悩みってのはなんだい? 話してみなよ」
仁美「はい、あの……実は進路のことで悩んでいまして」
杏子「進路? そりゃまたどーしてさ?」
仁美「佐倉さんは見滝原第二高校をご存知でしょうか? 見滝原中学より少し離れた位置にある高校なのですが」
杏子「あーボランティアの関係で何度か名前を見かけたね」
仁美「見滝原中学とは直接的な関わりがあるわけではないのですけど、大半の生徒はそこへ進学なされるんですの」
杏子「へぇー珍しいね。小学校と中学校でそういうのはよく見かけるけど」
仁美「さやかさんもまどかさんもそこへ進学なさるようでして、私もご一緒するつもりでした」
杏子「ふんふん」
仁美「……ですが両親としては反対らしく、二つ離れた街の学校を受けろとおっしゃるんです」
杏子「二つってことは風見野の隣町だね」
仁美「でも私としてはさやかさんやまどかさんと同じ学校へ通いたい気持ちの方が上回っているんですの!」
杏子「難しい話ですの!」
仁美「怒りますよ……?」 ニッコリ
杏子「じょ、冗談だよ、あはは……」 アセアセ
33: 杏子×仁美×友達 2012/01/05(木) 01:36:51.27 ID:G22EsI8io
杏子「友を取るか、学業を――親を取るかってことだね」
仁美「はい……」
杏子「大事なのは本人の意思だけど、決められないから来たんだもんな。さて……」
仁美「私はどうすればよろしいのでしょうか?」
杏子「学識や学歴は大事だからね。もちろん友達も大事だけど、そっちはまた作れば良いんだし」
仁美「作る、ですか」
杏子「どーかしたのかい?」
仁美「……実は私、友達を作るのが苦手でして。周りの方も空気が合わせ難いらしく」
杏子「あーそれはあるね、アンタって喋り方丁寧だし、おっとりしてるし」
仁美「それで中学でも友達が出来にくくて……そんな私に声をかけてくださったのがさやかさんでしたの」
杏子「アイツ昔っから良いやつなんだなぁ……」 ジーン
仁美「一時は上条君のことで荒れてしまったとはいえ、さやかさんとまどかさんは親友です」
仁美「……できればお二人とは離れ離れになりたくありません……」
杏子「ふーむ」
仁美「……」
杏子「そー暗い顔すんなって、な?」 ナデナデ
仁美「あ、ありがとうございます」 エヘヘ
34: 杏子×仁美×両親の気持ち 2012/01/05(木) 01:37:47.55 ID:G22EsI8io
杏子「今回の問題、何が難しいってそりゃあ悪いやつがいないからなんだよねー」
仁美「悪い方がいないというのは?」
杏子「だってそうでしょ?」
杏子「子供の将来を憂う母親の気持ちは悪心かい? 子供の未来を想う父親の気持ちは邪心かい?」
杏子「アンタの両親はアンタのためを考えてるんだろ?」
仁美「……はい」
杏子「こりゃあ参ったね、厄介な問題ですの」 ウーン
仁美「……やはり難しいですわね。ごめんなさい、他の方にご相談してみますわ」
杏子「ああ待った待った、せめてお茶くらい出すよ」
仁美「そんな、悪いですわ」
杏子「いーからいーから、実は良い紅茶の葉とお菓子が手に入ってさー♪」
仁美「あら、紅茶がお好きでいらっしゃいますの?」
杏子「アタシはなんでもイケる口なんだけどね。募金と一緒に匿名の信者から送られてきてんのさ」
杏子「このままじゃ余っちゃうし……良いよね?」 ウルウル
仁美「うっ……」
仁美(その目は卑怯ですわ!)
杏子「……」 ウルウル
仁美「……それでは一杯頂いていきますわ」
杏子「へへっ、さっすがですの!」
35: 杏子×仁美×紅茶の淹れ方 2012/01/05(木) 01:38:55.34 ID:G22EsI8io
杏子「おまたせー」 カチャリ
仁美「あら、良い琥珀色ですわ。淹れ方がお上手ですのね」
杏子「知り合いに紅茶にうるさいやつらがいたんだ。その影響さ」
仁美「まぁ……それにしても良い色ですわ。なにか秘訣でもございますの?」
杏子「とにかく熱いお湯を注ぐことと、ポットを温めたりすることかな」
仁美「とにかく熱く、温かく……勉強になりますわ」 ハァ
杏子「熱心だねぇ。そんじゃいただきます……んくっ」 ゴキュッゴキュッ
杏子「……っぷはぁ~! 美味ぁいッ!」 ゲェップ
仁美(紅茶って一気飲みする物でしたっけ……?) ハテ
杏子「さーておかわりおかわり。アンタも……っと、あんま減ってないね」
仁美「あ、ごめんなさい。色に見惚れてましたの」
杏子「ふーん。紅茶はあんま飲まないのかい?」
仁美「私はもっぱら緑茶ですわね。習い事をしていますので」
杏子「偉いねぇ……」
36: 杏子×仁美×両親の気持ち 2012/01/05(木) 01:40:01.90 ID:G22EsI8io
杏子「さて……お茶飲みついでにちょっと話を戻すけど良いかい?」
仁美「え? はい、どうぞ」
杏子「さっきはああ言ったけどさ、親の気持ちなんて子供にはよく分かんないモンなんだ」
仁美「それは……どういうことですの?」
杏子「生きてる年数が文字通りダンチ(段違い)なんだよ? 理解できたら怖いさ」
仁美「……」
杏子「最低でもアタシたちの二倍近く生きてる人間の、ましてや子供に対する考えなんて分からない方が当たり前だよ」
杏子「アンタもそうだろ?」
仁美「……そう、ですわね」
仁美「あなたはどうでしたの?」
杏子「一緒だよ」 ニヤ
杏子「アタシには、親父の気持ちなんてよく分からなかった」
杏子「親父に黙って付き添うお袋の気持ちも、よく分からなかった」
37: 杏子×仁美×過ち 2012/01/05(木) 01:40:28.20 ID:G22EsI8io
杏子「言い分だけは、まぁ正しいこと言ってるって理解してた」
杏子「あの時は子供だったからね、間違っているのは世界の方だ、こんなの納得できない! とか」
仁美「それは……」
杏子「今思うと、親父のやり方にも問題はあったんだよ……家族まで巻き込んでさ」
杏子「でもアタシはバカだから、願っちまったんだ。身勝手な祈りで条理を歪めた」
仁美「ですが、それは仕方のないことですわ」
杏子「そうかな。他人の都合を無視したのはアタシの方だぜ?」
仁美「そんなの!」
杏子「まぁまぁ落ち着きなって。過去の過ちはどうにもなんないし、これは重要なことじゃないんだ」
杏子「大事なのは、親父とお袋が何を考えてたのかってことさ」
仁美「……教えを広めようと一生懸命で、お優しい方だったのでは?」
杏子「そうだね。正直すぎて、優しすぎる人だった。世界を良くしようと頑張ってた」
杏子「でも最近になってさ、それだけじゃなかったって思うようになってきたんだ」
仁美「と……言いますと?」
杏子「……なんて言うかな」
杏子「教えを曲げて、逃げるのは簡単だろうさ。日々の労働に時間を費やしてアタシたちの面倒も見れたと思う」
杏子「でも、そんな情けない姿をアタシたちに見せたくなかったんじゃないかな」
38: 杏子×仁美×子供には 2012/01/05(木) 01:42:23.15 ID:G22EsI8io
仁美「……」
杏子「面子のためだって嘲笑うかい? それも間違いじゃないとは思うよ」
杏子「……でもさ、親父は、もっとこう……違うんだよ」
杏子「自分の信念を捻じ曲げた大人になってほしくないっていうか、なんだろうね」
仁美「自分の子供には、自分の信じる道を進んで欲しい。そういうことですか?」
杏子「ああそうそう、そんな感じだよ。結局親父やお袋は、アタシたちのために頑張ってたんだね」
仁美「……そうだと良いですわね」
杏子「真実は分からないまんまだけどさ」
杏子「それでもアタシの中の親父はそう言ってくれてるよ」
仁美「きっとそうですわ! なにせ杏子さんのお父様ですもの!」
杏子「ふふん、褒めたってお茶のおかわりくらいしか出ないよ?」 トクトク
仁美「あらあら、うふふ」
杏子「それにアンタの両親だって子供思いだと思うよ」
仁美「えっ?」
杏子「紅茶、熱心に見つめてたじゃん。習い事もいくつもこなしてる」
杏子「そういうのって、親がたくさんのことを知ってもらいたいって考えたからこそじゃない?」
仁美「知ってもらいたい……ですか」
39: 杏子×仁美×人生 2012/01/05(木) 01:44:52.51 ID:G22EsI8io
杏子「それと同じで、ちょっと話は変わるんだけどね」
仁美「はい」
杏子「友達――っていうか中学校ってのはね、人生の中じゃ結構大きな分岐点だとは、思わないんだ」
仁美「そうですか?」
杏子「巷じゃ人生の絶頂は高校時代とか、高校で運命が変わるとか言われてるからね」
杏子「いわば中学校はそこに繋がるための踏み台だね。高校というマッシュに繋げるためのガイアさ」
仁美「はい……はい?」
杏子「アタシは通ったことがないけど、高校には色んなやつがいるだろうさ」
杏子「その先もきっとそうさ。なにせ人が一生の内に出会う人間だけで五万人以上いるんだよ?」
杏子「これから増えるであろう知人、友人、親友、恋人、旦那さんと。計算してたら頭の中がこんがらがっちゃうよ」
仁美「人生って奥が深いんですのね……」
杏子「そしてそんだけ人はいる――ってね。まぁ会ってみないと分かんないもんだけど」
杏子「両親としては、もっと色んな人と触れ合って欲しいってのもあるかもね」
杏子「知ってもらいたいんじゃないかな、たくさんのこと」
仁美「たくさんのこと……」
40: 杏子×仁美×親友 2012/01/05(木) 01:45:45.73 ID:G22EsI8io
杏子「それに高校が違うからってさやかたちと縁が切れるわけでもないしね」
杏子「違うかい?」
仁美「そうですわね」
杏子「寂しくなったら会いに行けばいい。なんならアタシんとこでも良いよ? ただしミサの時はカンベンな!」
仁美「ふふっ、承知しておきますわ」
仁美「さやかさんにまどかさんに……杏子さん。大切な親友を三人も持てて私は幸せ者ですわ」
杏子「おいおいアタシも入ってんのかい?」
仁美「ち、違うんですの!?」 ウルウル
杏子「ああうそうそ! 違わない、親友だようんもちろんさ!」
仁美「ですわよねー♪」 ニッコリ
杏子(……なんか調子狂うよなぁ)
41: 杏子×仁美×ありがとう 2012/01/05(木) 01:47:01.12 ID:G22EsI8io
仁美「今日はありがとうございました。私、ちょっと行ってきますわ」
杏子「どこにだい?」
仁美「先ほどお話した高校の見学会です。行く途中で嫌になってうろうろしていた時に教会が見えて、それで」
杏子「なるほどねー。それじゃあ隣町の高校選ぶのかい?」
仁美「いえ、それはまだ。自分の目で確かめてから決めてみたいと思います」
杏子「良い判断だね」
仁美「両親と杏子さんのおかげですわ」 クスクス
杏子「アタシは誰だって思いつく言葉を言っただけさ。こんなこと、さやかやまどかでも言えたよ」
仁美「たとえ誰でも思いつく言葉だったとしても」
仁美「先ほどの言葉は、あなたが告げてくれた言葉でしょう?」
杏子「……」
仁美「……」
杏子「負けた……! アタシが必死に考えた説教を一撃で吹き飛ばす格好良い言葉を紡ぎやがったッ……!」
仁美「なんかもういろいろ台無しですわね……」
42: 杏子×スタッフ×立派か否か 2012/01/05(木) 01:48:58.44 ID:G22EsI8io
スタッフ「ご立派でしたね」
杏子「ああ、優しくて良い子だね」
スタッフ「私はあなたのことを指して言ったのです」
杏子「よしとくれよ」
スタッフ「謙遜なさらずともよろしいのに」
杏子「謙遜じゃねぇ。アタシは褒められるようなモンじゃねぇんだ」
スタッフ「彼女に道を示してあげたではありませんか」
杏子「たった15年しか生きてないヤツが人生のなんたるかを語ってんだよ? ちゃんちゃら笑えるね」
スタッフ「人生は、なにも長く生きてる者が偉いわけではございません」
スタッフ「問題はどのように生きてきたか、生きているか、です」
スタッフ「15年しか生きていない少女の言葉が、大勢の信者の心を突き動かす……そんなことが起こりえるのが人間です」
杏子「……」
スタッフ「もっとも私とて、人生の何たるかを語れるほどに教えを学んだわけではございませんが」
43: 杏子×スタッフ×正しいこと 2012/01/05(木) 01:51:15.94 ID:G22EsI8io
杏子「……アタシが過去に、人を食い物にしてた魔女だって言ったらどうする? 失望するかい?」
スタッフ「鼻で笑ってさしあげます」 ハンッ
杏子「ひでぇ」
スタッフ「過去に何があったかは存じませんが、しゃきっとしてください。あなたは正しいことをしたのですから」
スタッフ「過去の過ちはどうにもならない、重要ではない。これはあなたの言葉でしょう」
杏子「……はいはい」
スタッフ「それではさっそく昼の祈りです」
杏子「えぇー、もうそんな時間?」
スタッフ「はい。午後は信者との集会もございますから休んでる暇はございません」
杏子「うー……日曜だってのにぃ……」
スタッフ「さぁ、きびきび動いてください」
杏子「はぁい……」
スタッフ「それから今後礼拝を執り仕切る際にはもっと天上の神と主に意識をお向けください」
杏子「気をつけまーす」
スタッフ「やれやれ」 フゥ
44: 杏子×おやすみ 2012/01/05(木) 01:52:31.50 ID:G22EsI8io
杏子「ふー……」
杏子「仁美のやつ、だいじょぶかねぇ……」
杏子「意識を天と主に向ける……もっと真面目にやらないとダメってことか」
杏子「でもこのまんまだとまるっきり古い宗教だしなぁ、親父の教えってどんなんだっけ……」
杏子「でも親父みたいに、無理な教えの押し売りも……」 ウトウト
杏子「ついてきてくれてる信者の考えを尊重するような……」 ウトウト
杏子「最近休んでないなぁ……いや休んでるわ」 ウトウト
杏子「……」 ウトウト
杏子「……おやすみなさい……」
46: 以下、あけまして 2012/01/05(木) 02:33:17.85 ID:cwyb7S2Ro
乙
杏子ちゃんマジあんあん
杏子ちゃんマジあんあん
47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/01/06(金) 23:52:41.83 ID:ouVXW/pR0
乙
これは面白い
これは面白い
49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/01/15(日) 02:43:38.79 ID:ke902LAvo
気がつけば十日近くが経過していたことにマジ焦り!
レスをつけてくださった方、ありがとうございます。そして大変申し訳ございませんでした
んでば、投下させていただきます
レスをつけてくださった方、ありがとうございます。そして大変申し訳ございませんでした
んでば、投下させていただきます
50: ほむら×見滝原市 2012/01/15(日) 02:45:14.27 ID:ke902LAvo
―――見滝原市の郊外。
ほむら「日曜日、のんびりと羽を伸ばしている暁美ほむらよ」
ほむら「……ふっ」
ほむら「穏やかな昼下がりの午後、静かに街をひっそりと歩く……」
ほむら「ミステリアスかつ不思議な雰囲気を漂わせる黒髪ロング……」
ほむら「久々にイニシアチブを取り戻させてもらったわ」 キリッ
ほむら「そう、これこそが私よ」
ほむら「ストーカーでも変態でもない、クールな女子中学生……!」
ほむら「繰り返し言うわ。――これこそがわた」
作業員「おじょうちゃん、これ(鉄材)運びたいからそこどいとくれるかい?」
ほむら「あっす、すいません! 今おどきしますね!」
作業員「ありがとよおじょうちゃん」
ほむら「と、とんでもないです! そっ、それじゃ失礼しましたっ!」 ソソクサ
作業員「……? 変わった子だねぇ」
51: ほむら×かといって×不審者……? 2012/01/15(日) 02:46:32.49 ID:ke902LAvo
ほむら「……」
ほむら「……ふぅ」
ほむら「ちょ、ちょっと驚いただけよ……焦ってなんかいないわ、ええ」
ほむら「……」
ほむら「暇ね」
ほむら「まどかが出かけてしまっているのが痛かったわ」
ほむら「かといって家にいるわけにもいかないし」
ほむら「といってー」
ほむら「かとーいってー」
ほむら「泣きー出すーわけーにー……あら?」 パチクリ
ほむら「さっきから通りを行ったり来たりしてる変人がいるわね」 フム
ほむら「挙動不審過ぎて不審者であることは疑いようがないけれど」 ホムゥ
通行人(さっきからブツブツ独り言呟いてる君が言えた義理じゃないだろ) スタスタ
ほむら「そういえばあの不審者の服装、どこかで見た覚えがあるわね」
ほむら「それにあの赤みがかったポニーテールにちょっと吊りあがった目、特徴的な八重歯……」
ほむら「……まさか、ね」
52: 杏子×通り×逡巡 2012/01/15(日) 02:47:52.34 ID:ke902LAvo
―――同時間帯、見滝原市の郊外。
杏子「うー……」 ウロウロ
杏子(どうすっかなぁ……) チョロチョロ
杏子(どんな顔して行けばいいのかわかんねーし……) ウロチョロ
杏子(どんなこと話すかも決まってねーし……) チョロウロ
ほむら「何をしているの、佐倉杏子」 ヌゥッ
杏子「わぁっ!?」
ほむら「そんなに驚くことないでしょうが」 ファサッ
杏子「背後5cmちょいから急に声かけられたら驚くに決まってんだろーが!」
ほむら「油断しすぎよ。常日頃からパーソナルスペースは広く保つようにしなさい」
杏子「気配断たれたらパーソナルスペースもなにもないって……」
ほむら「そんなことではこの激動の世の中、大戦下の日本を生きのこれないわよ」
杏子「アンタの日本はどこの世界のいつの時代の日本なんだよ!?」
※パーソナルスペース……いわゆる縄張り、相手との距離感的なアレ。
53: 杏子×ほむら×小話 2012/01/15(日) 02:49:10.78 ID:ke902LAvo
―――見滝原市のとある公園。
ほむら「それであなたはあそこでなにをしていたの?」
杏子「いきなりだね」
ほむら「そうかしら?」
杏子「そうだよ。……あー、アタシはほら、ちょっと用があってさ」
ほむら「用があるのは当たり前でしょう。用も無いのに通りをうろちょろしてたらただの変態じゃないの」
ほむら「はっ、もしかしてあなた……!?」
杏子「もしかしてじゃねーよ、はたくぞ」
ほむら「大丈夫、あなたが変態でも私とあなたの関係は変わらないわ。――ただの知り合いでしかないものね」
杏子「仮にも背中を預けあった仲なのにただの知り合いってひどくない?」
ほむら「大丈夫よ、私はそんな変態なあなたを応援してるわ。――ただの知り合いとしてね」
杏子「オーケイ分かった、喧嘩売ってんだね? よしその喧嘩買ったよ!」
ほむら「落ち着きなさい変態、周りの視線が痛々しいわよ。――ただの知り合いからの忠告ね」
杏子「落ち着くのはアンタだろーが!!」
54: 杏子×ほむら×通りの向こう側に 2012/01/15(日) 02:50:11.65 ID:ke902LAvo
ほむら「じゃあなんでうろちょろしてたのかしら?」
杏子「ああもう! あの通りの向こうに行こうとしてただけだよ!」
ほむら「あの通りの向こう……って」
杏子「……」
ほむら「巴マミのところね?」
杏子「……ん」
ほむら「あなたまだ顔を出していなかったの? まったく……」 ハァ
杏子「しょ、しょーがないじゃん! 教会の運営で忙しいし、どんなこと話せばいいか分かんないし!」
ほむら「意気地なしね」
杏子「うっ……」
ほむら「……まぁ無理強いはしないわ。私も時間掛かったもの」
杏子「そーなのか?」
ほむら「そーなのよ」 クスッ
杏子「なに笑ってんだよ」 ムスッ
ほむら「いえ、ただの知り合いの癖にやたらと馴れ馴れしいからつい。――私たち、ただの知り合いよね?」
杏子「よし分かった、こっち寄りな。一撃で楽にしてやるよ」
55: 杏子×ほむら×ぶっちゃけ暇なんです 2012/01/15(日) 02:50:47.91 ID:ke902LAvo
杏子「つーか、そう言うアンタはどうしてあそこにいたんだ?」
ほむら「私は日課の散歩よ」
杏子「ゼッテーウソだろ」
ほむら「嘘じゃないわ。今は魔法の恩恵を得れないからこうして出歩くことで体力をつけようとしているのよ?」
杏子「ふーん……そういやアンタ、視力下がったからって眼鏡掛けてるもんね」
ほむら「そういうことよ」
杏子「で、実際のところは?」
ほむら「まどかが家族と一緒にお出かけしちゃって暇なのよ。――はっ!」
杏子「アンタ、なんか色々と残念だな……」
ほむら「きょ、杏子に見下された……! 悔しい……!」 ヌググ
杏子「そう力むなって、眼鏡ずれちまってるよ」
ほむら「わわ、あぶないっ」 カチャカチャ
杏子「おい誰だよコイツ」
56: 杏子×ほむら×一般人生活 2012/01/15(日) 02:51:29.88 ID:ke902LAvo
ほむら「やっぱり眼鏡はダメね。フィルター越しに見てる気がしてしっくり来ないわ」
杏子「でも魔法少女になる前はそれが普通だったんでしょ?」
ほむら「それって何年前の話よ」
杏子「……アンタの主観時間だと遥か昔だってこと忘れてたわ」
ほむら「人をロリババァみたいに言わないでちょうだい。ほんの十数年前の話よ。――二十数年前だったかしら?」
杏子「いやまぁどっちでもいいけどさ」
ほむら「どこの中沢よ。でも心臓の手術が上手く行ってよかったわ」
杏子「その節は本当にお疲れ様でした」
ほむら「いえ、それほどでも」
杏子「あーでも杖ついて帰って来たのには笑ったなぁ、ははっ!」 ケラケラ
ほむら「忘れなさい!」
杏子「ゼッテー忘れないでいてやるよ」 フフッ
ほむら「ぐぬぬ……!」
57: 回想×退院後 2012/01/15(日) 02:53:20.58 ID:ke902LAvo
――― 一年近く前、廃墟同然の見滝原市の公園にて
杏子『ほむらが退院して戻ってくるのって今日でしょ? ちょっと遅くない?』
まどか『そういえば遅いね、ほむらちゃん』
さやか『なにやってんのかなー、もうとっくに家に着いてこっちに移動し終わってる時間なんだけど』
まどか『はやくマミさんのところにも行ってあげないとね』
杏子『うげぇ……っておい、あれってほむらじゃね?』
ほむら『……』 プルプル、ヨチヨチ
さやか『……いやいや、ほむらじゃないでしょ?』
まどか『……生まれたての小鹿みたいにぷるぷるしてるけどあれほむらちゃんだよ!』
杏子『う、生まれたての小鹿っておい! くっ、くく……!』 プルプル
さやか『あっはっはっは! まどか、あんた笑いのセンスありまくりね!』 ゲラゲラ
まどか『わ、笑い事じゃないよ! ぷるぷるほむらちゃんを助けに行かないと!』
杏子『ぎゃははは! ぷるぷるほむらちゃんってなんだよ!』
さやか『面白いを通り越して逆に恐ろしいわ、さすがあたしの嫁……ぷ、くく!』
ほむら『……』
ほむら『……必ず、殺す』 ウルウル
58: 杏子×ほむら×あのときの恨み 2012/01/15(日) 02:54:43.54 ID:ke902LAvo
―――現代、見滝原市のとある公園。
ほむら「思い出したらはらわたが煮えくり返ってきたわ」
杏子「あの後ちゃんと謝ったろ? それでいーじゃんいーじゃん」
ほむら「いいえ許さないわ。大体あなた、その肌はなんなの?」
杏子「は、肌?」
ほむら「そうよ、ちょっとこっち来なさい」
杏子「なんだよいきなり……」
ほむら「この肌の瑞々しさはなんなのかしら?」 サワサワ
杏子「ひゃうっ!? どっどこ触ってんだテメェ!?」
ほむら「同年代で同じ人生全盛期の15歳真っ盛りのはずがどうしてこう差が出るのかしらね」 ササッ
杏子「あっ、アンタの肌も十分に……あっ、そこ、ちょっ、やめろって!」
ほむら「私は病院生活が長かったから日光に弱かったりしてるのよ。それに比べてあなたと来たら……」 サササッ
杏子「ひぅっ、んんっ……やめ……」
ほむら「……でもまどかに比べたら劣るわね。しょせんは二流の肌、美というより芸ね」 ヤレヤレ
杏子「テメェ終いにゃ張り倒すぞ!!」 ハァ、ハァ
59: 杏子×ほむら×これからのこと 2012/01/15(日) 02:55:41.76 ID:ke902LAvo
ほむら「そういうわけで、私は暇を持て余しているのよ」
杏子「アンタが持て余してんのは劣情と煩悩だろ」
ほむら「ぶっちゃけ私、これからどうすればいいのかしら」
杏子「はぁ? なにさそれ?」
ほむら「悩んでる……と言うべきね。今の私は、目的が無いから」
杏子「――へぇ。意外だね」
ほむら「そうかしら」
杏子「そうだよ。アンタのことだから、まどかとずっと一緒にいたいとか考えてると思ってた」
ほむら「……それもないわけじゃないわね」
杏子「でも、それだけじゃないんだろ?」
ほむら「ええ」
杏子「難しい話だね――よし」
杏子「――アンタの悩み、聞いてやるよ」
ほむら「……今の台詞いらなくない?」
杏子「いいからいいから」
60: 杏子×ほむら×あやふやな生活 2012/01/15(日) 02:56:19.85 ID:ke902LAvo
ほむら「……私はまどかと交わした約束を守るために何度も繰り返し、ようやく時間の迷路から抜け出たわ」
杏子「一年とちょっと前のことだね」
ほむら「ええ。あの時は世話になったわね」
杏子「お互い様、だろ? 話、続けなよ」
ほむら「……それから魔女が消えて、ソウルジェムが元の魂に戻ったわね」
杏子「性質の悪い夢だったのかって、疑ったもんだよ」
ほむら「問題はそこからよ」
ほむら「元の生活に戻って、まどかと一緒に勉強して、食事して、ときどきまどかの家にお泊りしたりして……」
ほむら「そこまでは、まぁ良かったのよ」
杏子「どうなったんだい?」
ほむら「頭の中が緩んで沸いて薄っぺらくあやふやになってしまった……?」
杏子「沸いてるのは昔からでしょ、っていうかなんで疑問系なのさ?」
ほむら「自信が無いからに決まっているじゃない」
杏子「どうしようもねぇな」
ほむら「だから悩んでいるんじゃない」
61: 杏子×ほむら×燃え尽きた 2012/01/15(日) 02:56:54.51 ID:ke902LAvo
杏子「それって単なる燃えつき症候群じゃない?」
ほむら「命と世界を賭けた決死の行いをスポーツ選手のそれと一緒にするのはどうかと思うわ」
杏子「スポーツマンだって精一杯やってんでしょ」
ほむら「それは……」
杏子「アンタはアンタのしたいことをすれば良いと思うんだけどね」
ほむら「そのしたいことが見つからないのよ」
ほむら「おかしいわね。あんなに欲しかった日常を手にしてるのに、こんなの」
杏子「そりゃあ何十年って時間かけてりゃそうなるに決まってんじゃん」
ほむら「……そうなのかしら」
杏子「そういうもんなんじゃないの? 人って」
ほむら「……そうかもしれないわね」
62: 杏子×ほむら×目的ってなにさ 2012/01/15(日) 02:58:32.21 ID:ke902LAvo
杏子「そういやアンタさっき、時間の迷路から抜け出すためとか約束を守るためとか言ってたよね」
ほむら「ええ、言ったわね」
杏子「それ正確には間違ってるよ」
ほむら「どういうこと?」
杏子「アンタはまどかと一緒に、静かで幸せな日々ってやつを送りたかったんじゃないのかい?」
杏子「最初はそりゃ、まどかみたいになりたいとかもあったかもしんないけどさ」
杏子「まどかのことを救ってやれた時点でそれは叶ってるから、残ってる目的は後から来たヤツだよね」
ほむら「……それとさっきのと、何が違うの?」
杏子「大違いだよ。約束を守るとか、迷路から抜け出すってのは目的を達成するための手段とかじゃん?」
杏子「やっぱその先にあるのは、理想の状況とか、世界なんじゃないの?」
ほむら「……そうね」
杏子「だったらやっぱりアンタの目的は達成されちまってんのさ。これ以上何をする必要も無いよ」
ほむら「結論は変わらないのね。――でも、そんなので良いのかしら?」
杏子「だってアタシらまだ中学生だよ? アンタの精神年齢はともかく、これ以上気苦労してたら白髪生えちゃうよ」
ほむら「さすがにこの年齢で白髪は堪えるわね……」
63: 杏子×ほむら×幸せになっていいのですか 2012/01/15(日) 02:59:10.01 ID:ke902LAvo
ほむら「……」
杏子「なんだよ、まだなにかあんのかい?」
ほむら「……た、わ」
杏子「ん?」
ほむら「私は、この世界に訪れるまでに数え切れないくらいたくさんの人を見捨ててきたわ」
ほむら「必要なら、人だって殺めた。――そうしないと、私の大事な人が死んでしまうから」
ほむら「そんな私が、幸せになっても良いの?」
杏子「アンタさぁ、ホントに中学生?」
ほむら「もちろん中学生に決まっているじゃない。――精神年齢含めたら中学何十年生になるか知らないけれど」
杏子「だったらあれこれ考えるのはよしなよ」
ほむら「……」
杏子「アタシだって、たくさんの人を見殺しにしてきたし、迷惑もかけた」
ほむら「え?」
64: 杏子×ほむら×罪 2012/01/15(日) 03:00:05.98 ID:ke902LAvo
杏子「間接なら自殺、他殺、交通事故、精神疾患、心神喪失、重傷に重症に他色々」
杏子「直接なら万引き、窃盗、強盗、器物損壊に他色々」
ほむら「それは……何?」
杏子「初めのは、アタシが見逃した使い魔が引き起こしたかもしれない罪」
杏子「後ろのは、アタシがこの手で行った罪」
ほむら「……」
杏子「笑っちゃうよね、こんなのが主の下で祈ってんだからさ」
杏子「そういうわけだから、生憎だけど他人の行動や手段を咎める資格をアタシは持ち合わせてないんだ」
ほむら「しょうがないわ。そうしなければならなかったのだから」
杏子「そうだね。――じゃあ、アンタも同じだ」
杏子「そうしなきゃいけなかったんだから、そうしたんでしょ?」
ほむら「……」
杏子「それともアンタは、まどかのためにやったてきたことを後悔してんのかい?」
ほむら「いいえ、してないわ。ただちょっと感傷的になっていただけよ」
65: 杏子×ほむら×成長 2012/01/15(日) 03:01:06.00 ID:ke902LAvo
杏子「なんか結局うやむやになっちまったね」
杏子「要は、どうすればいいのかなんて考える必要ないんだよ。普通に生きて、普通に過ごしなって」
ほむら「……しばらく見ない内にずいぶん立派になったのね」
杏子「アンタ、アタシの親か何かかい?」
ほむら「少なくともあなたの親の次にあなたのことを見てきたことは間違いないわ」
ほむら「――なにせ精神年齢ウン十歳だもの」
杏子「精神年齢ネタいつまで引っ張ってんだよ」
ほむら「これ、最近の鉄板持ちネタなのよ」
杏子「誰にウケてんの?」
ほむら「主にさやかにバカウケ」
杏子「バカにバカウケして楽しいかぁ……?」
ほむら「正直物足りないわ」
杏子「だったら捨てろよ、自虐ネタは痛々しいぜ」
ほむら「でも結構お気に入りなのだけれど……」
杏子(コイツ、こんなヤツだったかなぁ……?)
66: 杏子×ほむら×悩み、悩まれ、悩まされ 2012/01/15(日) 03:02:27.87 ID:ke902LAvo
杏子「おっと、もうこんな時間じゃん。教会戻らないと」
ほむら「仕事?」
杏子「仕事って言うなよ、主に仕えてんだからさ。色々忙しいんだよ」
ほむら「そう……じゃあ私も帰ろうかしら。もうじき工事用のトラックやらが動き始めるし」
杏子「復興で大忙しってわけか。ワルプルギスの夜の爪痕はずいぶん深いモンだねぇ……」
ほむら「死者が出なかっただけマシよ。見滝原市の役所には頭が上がらないわ」
杏子「だから中学生の吐くセリフじゃないってそれ」
ほむら「そうかしら。――ああそれと」
杏子「んー?」
ほむら「巴マミ、あなたに会いたがってると思うわ」
杏子「……」
ほむら「あなたに悩みを解決してもらった私が言うのもなんだけれど」
ほむら「深く考えずに、素直な気持ちで会いに行ってあげなさい。――じゃあ、またいつか」
杏子「……」
杏子「それが出来たら、苦労はしないよ……」
67: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/01/15(日) 03:05:44.54 ID:ke902LAvo
ギャグに走りたいのかシリアスに走りたいのか分からない、そんな回でした。
できれば外伝キャラもお悩み解決に出したいところですねー
適度に伏線を混ぜつつ、投げつつ、踏み潰しつつ!
ではでは、また近い内にお会いしましょう……近い内にできるかなぁ。失礼しました
できれば外伝キャラもお悩み解決に出したいところですねー
適度に伏線を混ぜつつ、投げつつ、踏み潰しつつ!
ではでは、また近い内にお会いしましょう……近い内にできるかなぁ。失礼しました
68: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) 2012/01/15(日) 09:11:31.79 ID:8xywqZ/5o
乙
おかえりなさいませぇ!
焦らなくてイインダヨ
おかえりなさいませぇ!
焦らなくてイインダヨ
69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/01/15(日) 19:52:44.10 ID:L39cXuYb0
乙
クールメガほむ……だと……
クールメガほむ……だと……
70: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2012/01/15(日) 19:55:20.58 ID:fSs/OhUAO
面白かった
まどかわいい
まどかわいい
引用元: ・杏子「アンタの悩み、聞いてやるよ」
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