1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/11 21:11:28 ID:eOLOsxWV0
皐月「何だそれは?」

犬牟田「数字の1がポッキーの形状に似ていることから作られた記念日です」

犬牟田「正しくはポッキー&プリッツの日だとか」

猿投山「へぇ、プリッツも入ってたのか。俺ずっとポッキーだけの記念日だと思ってた」

蟇郡「フン……学園に菓子を持ち込み、校内の風紀を乱す輩が増えんといいがな……」

蛇崩「風紀部委員長の蟇くんは真面目ねぇ」ポリポリ

猿投山「いや言われてるそばから食うなよポッキー」

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/11 21:13:01 ID:eOLOsxWV0
蛇崩「それよりポッキーの日って言えばアレよね! ポッキーゲーム!」

皐月「? ポッキーゲームとは何だ?」

犬牟田「二人で行うポッキーを使ったゲームです」

犬牟田「ポッキーの両端を二人がそれぞれ咥え、少しずつ食べ進めていき」

犬牟田「先に口を離した方が負けというルールになっています」

皐月「……」



皐月「纏流子。私とポッキーゲームをしろ」

流子「人を空き教室に呼び出しておいて何を言い出すんだテメェは」

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/11 21:15:09 ID:eOLOsxWV0
皐月「犬牟田からルールを聞いたときに閃いたのだよ……」

皐月「このゲームの必勝法を!」

流子「そうか。それはよかった」

皐月「というわけでこの必勝法を貴様で試してみることにしたわけだ」

流子「何でそこで私なんだよ」

皐月「どうした? こんなゲームとはいえ私に負けるのが怖いか?」

流子「いやそういうわけじゃ……」

皐月「こんなゲームならばもしかしたら貴様にも勝ち目があるかもしれんというのに……」

流子「あ? 何だその言い方? 神衣着てやり合うんじゃどうあがいても私に勝ち目はねーって言いてぇのか?」

皐月「そう聞こえなかったのか?」

流子「ほーう?」イラッ

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/11 21:17:39 ID:eOLOsxWV0
流子「いいぜ? やってやろうじゃねーか! ポッキーゲームでも何でもテメェに負けるつもりはねぇよ!」

皐月「ようやくやる気になったか纏流子!」

流子「チョコが付いてる方か付いてない方か好きな方テメェに選ばせてやらぁ?」

皐月「ほう……ではチョコの付いてない方を選ばせてもらおう」

流子「おいおい物好きだなぁ? 普通はチョコの方選ぶんじゃねぇの?」

皐月「これから苦い敗北を味わう貴様にせめてもの情けにより甘い方をくれてやったつもりだが?」

流子「そーかい、そーかい、じゃあテメェは苦い味だけを味わうことになるわけだなぁ?」



蛇崩「あの二人これからポッキーゲームやろうとしてるんだよね?」

犬牟田「多分な」

猿投山「俺あんな暑苦しいポッキーゲーム見たことねえよ……いや聞いたことねえよ」

蟇郡「それよりお前たち……何故あの二人を扉の隙間から盗み見ている」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/11 21:19:17 ID:eOLOsxWV0
流子「あむ」

流子(しかしポッキーゲームの必勝法だと……? こいつ一体何をするつもりだ……?)

皐月「では私が口を付けた所からゲームスタートだ……好きなペースでポッキーを齧るがいい」

流子(この余裕……相当その必勝法に自信があるみてぇだが……)

流子(好きなペースでいいんなら……遠慮無しに行かせて貰うぜ?)

皐月「はむ」

流子(今だ!)ポリポリポリポリポリ!



蛇崩「なっ!?」

猿投山「何だこの咀嚼音は!? 凄まじいスピードだ!」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/11 21:21:45 ID:eOLOsxWV0
犬牟田「そうか! 纏流子はポッキーを一気に素早く食べ進めることで!」

犬牟田「皐月様にプレッシャーを与え、攻め入る隙を無くすつもりか!」

蛇崩「いやポッキーゲームってそんな戦略考えるゲームじゃないよね?」

蟇郡「しかし……皐月様も負けてはいないぞ!」


皐月「……」ポリポリポリ


犬牟田「まったく怯むことなく食べ進めている……!」

猿投山「流石皐月様! そんなプレッシャーには負けはしない!」


流子(こいつ……くそっ! だったら作戦変更だ!)

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/11 21:23:08 ID:eOLOsxWV0
流子「……」



蟇郡「む? 纏の動きが止まった……?」

猿投山「一体どういうことだ? まさかもう降参か?」

犬牟田「いや……ポッキーゲームのルール上、食べ進めるのを止めたところで降参にはならない……」

犬牟田「降参するつもりならば奴はとっととポッキーから口を離しているだろう」

犬牟田「奴の狙いは、皐月様に『自ら顔を近づけている』という事実を突きつけることで」

犬牟田「皐月様に羞恥を与え、攻撃の手を止めさせるつもりなのだろう……」

蟇郡「纏め……小癪な真似を!」

蛇崩「いやポッキーゲームに小癪な真似とかそういうの無くない?」

犬牟田「しかしこの作戦も……皐月様には通用していないようだな……」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/11 21:25:05 ID:eOLOsxWV0
皐月「……」ポリポリポリ

流子(んなっ……この女まったく気にしてねえ!)

流子(つーか……もう長さヤバいんじゃね?)

皐月「……」ポリポリポリ

流子(近い! 顔かなり近いから! 止まれよ!)


犬牟田「ポッキーの長さは残り僅か……だが皐月様が食べるスピードを遅くする様子はまったく見られない!」

犬牟田「皐月様の狙いとは一体……」

蛇崩「もう犬君黙ってて! 今良い所なんだから!」

猿投山「おい蛇崩」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/11 21:27:21 ID:eOLOsxWV0
流子(もうポッキーがよく見えないぐらいまで近づいてるから! 本来ここでストップだから!)

 ポリポリポリ

流子(互いに鼻でしてる呼吸とかもう肌で感じる距離になってるから! 止まってって!)

 ポリポリポリ

流子(ちょ、だから、頼むから止まっ……)



流子「ん……!?」



蛇崩「キタ―――――!!」

猿投山「うるせぇ」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/11 21:29:10 ID:eOLOsxWV0
流子(うわぁぁぁぁぁああああああああああ!)

流子(しちまった! あいつとキ、キキ、キ……)

流子(え、どーすりゃいいんだこれ? どう動けばいいんだこれ!?)

流子(頭ん中ぐちゃぐちゃで体が動かない……ってか)

皐月「……」

流子(お前は動けよ!)

流子(何でキスしたまま微動だにしねぇの!? どういうことだこれ!?」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/11 21:31:01 ID:eOLOsxWV0
蛇崩「あれ!? 二人ともキスしたまま全然動かないんだけど!?」

犬牟田「纏は顔を真っ赤にしているから、キスしたショックで動けないのだと思われるが……」

蟇郡「皐月様は真顔のままピクリとも動かないな」

猿投山「真顔でキスとかシュールな光景だな……いや俺見えてねえけど」

犬牟田「何故皐月様は動かないんだ……?」

犬牟田「……ん? 動かない……?」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/11 21:32:23 ID:eOLOsxWV0
流子(何故! 何故キスした後も口くっつけたまま続行!?)

流子(終わってるだろ! ポッキー食い尽くしてゲーム終了してるだろ!)

皐月「……」

流子(何こいつのこの真顔から伝わる勝ち誇ったようなオーラ!?)

流子(何に勝った顔なんだよそれは!)

流子(……勝ち……?)

流子(ちょっと待てよ……?)

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/11 21:34:23 ID:eOLOsxWV0
流子(ポッキーゲームって先に口離した方が負けなんだよな……)

流子(つまり逆に言えば、意地でも先に口を離さなければ負けないってわけで……)

流子(……)

流子(……まさか……こいつの言ってた必勝法って……)



犬牟田「相手が口を離すまで一切動かない! それが皐月様の言う必勝法だったのか!」

猿投山「バカだったんだなあの人」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/11 21:37:27 ID:eOLOsxWV0
流子(この女……キスする危険を最初から度外視して……というか受け入れて……)

流子(その上で勝利しようとしてやがるだと!?)

流子(バカだろこいつ! そこまでして勝ちたいか! どんだけ私に勝ちたいんだよこいつは!)

流子(っていうか本当に私動けないから! 頭ん中ぐるぐる回ってて何も動けないから!)

流子(そっちが口離してくんないとずっとキスしっぱなしだから!)

皐月「……」

流子(あ、ダメだこいつ絶対に動かないって言いたいのが眼力で伝わってくる。何その凄い眼力。キスしてる奴の眼じゃねぇよそれ)

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/11 21:39:56 ID:eOLOsxWV0
蛇崩「ハァハァ……今すぐ写真部からカメラ借りて来たい……っていうかマジで誰か借りてきてくんない?」

犬牟田「落ち着け」

蟇郡「カメラ云々の前に貴様はまず涎を拭け」

猿投山(……ん? 誰か近づいてくる足音が……)



マコ「いやー、私としたことが弁当箱を机の中に忘れちゃうなんて……あれ?」

マコ「わー! 生徒会四天王が全員揃って扉の隙間から教室の中を覗いているような怪しいポーズで何してるんですかー!?」

蛇崩「うわっ、バカッ!」


流子「!?」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/11 21:42:37 ID:eOLOsxWV0
流子「あ」

蟇猿犬蛇「あっ」

流子「テメェらいつからそこにいた!?」

犬牟田「マズいバレた!」

蛇崩「ち、違うのよ? ただ私たちは皐月様の付き添いで教室の前で待ってただけで……」

流子「さっきマコが扉の隙間から教室の中覗いてたっつてたよなぁ!?」

猿投山「落ち着け纏! 少なくとも俺は見てない! というか見えん! 実に残念だ!」

流子「オイ残念だって何の話だ?」

猿投山「あっ」

流子「やっぱ見てたんじゃねェか! いやお前の場合聞いてたんじゃねぇか!」

蛇崩「ちょっ……蟇君も何か言い訳を……あれ!? 蟇君いない!?」

マコ「さっき颯爽と逃げて行きましたよ」

猿投山「あの蟇ゴリラァァァァァ!」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/11 21:44:20 ID:eOLOsxWV0
流子「そこに並べ三人! ぶん殴って覚えてること忘れさせてやらぁ!」

猿投山「俺たちも逃げるぞ!」

蛇崩「あーっ! 待ってよー!」

犬牟田(……ここで逃げても皐月様に後で何て言われるだろうか……)

流子「待ちやがれテメェらぁぁぁあああ!」

 ガシ

流子「!?」

皐月「待て纏」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/11 21:45:37 ID:eOLOsxWV0
流子「んだよ!?」

皐月「とりあえず言わせてもらうが……貴様が先に口を離したから貴様の負けだな」

流子「まだ言ってんのかよ! 何だそのドヤ顔は! もうお前の勝ちでいいからあいつら殴りに行かせろよ!」

マコ「ねーねー、勝ちとか負けとか皐月様と空き教室で二人っきりで何してたの?」

流子「何もしてねーよ! いいか? 私ら別に空き教室で何もしてねーからな!?」

マコ「?」

皐月「それともう一つ……聞きたいことがある」

流子「あ!?」



皐月「貴様昼に何を食った? 妙な味がしたぞ」

流子「うるせぇ!」

 おわり

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/11 22:02:12 ID:m4v54vLJ0

引用元: 鬼龍院皐月「ポッキーの日?」