1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 21:38:46 ID:kZ0jLuvm0
れんげ「三年生、こまちゃんが高校に行っちゃったのん」

れんげ「四年生、ほたるんと二人きり」

れんげ「そして六年生」

れんげ「とうとう、学校からうち以外いなくなりました」

れんげ「ねーねーが遅刻しても、楽しくないのん」

れんげ「放課後が来てもつまらないのん」

れんげ「田舎って、つまらないのんなー」

れんげ「……ひゅー、ひゅー」

ガサガサ

れんげ「具、お前もずいぶん長生きなのん」

れんげ「……あと数年、うちが高校に行くまでは、頑張って」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 21:47:18 ID:kZ0jLuvm0
れんげ「ねーねーは今日も遅刻」

れんげ「具、一緒に本読むん」

れんげ「狸とは」

れんげ「狸とはムジナと呼ばれたりします、具はムジナでもあるんなー」

れんげ「狸がする狸寝入りとは気絶です、意外と臆病なんな、狸親父はふてぶてしいのに」

れんげ「狸とは寿命が10年ほどです」

れんげ「10年」

れんげ「もう5年、今が6年目」

れんげ「うちが高校に行くまであと3年くらい」

れんげ「……お前はうちとあった時はいくつだったん?」

れんげ「もう誰かが離れていくのは嫌、だからまだ駄目です、具はまだまだ長生きすること」

れんげ「家で一緒にご飯食べて、栄養付けようなー?」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 21:54:24 ID:kZ0jLuvm0
れんげ「……」

れんげ「ねーねー」

一穂「んー、なんだいれんちょん」

れんげ「二人だけなのに学校まで来る意味あるのん?」

一穂「そうだねー、もしかしたら無いかもしれないね」

れんげ「じゃあ家でお勉強するん?」

一穂「だーめ、ちゃんと学校でお勉強するんだよ」

れんげ「ん」

一穂「それじゃあ終わったら言ってねー……Zzz」

れんげ「……」

れんげ「二人きり、家と変わらないのん」

れんげ「でもねーねーが言うなら、仕方ないのんなー」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 22:03:39 ID:kZ0jLuvm0
れんげ「おばさん、本日もおひがらも良く」

雪子「いらっしゃいれんげちゃん、あの子達の部屋なら好きに入っても良いからね」

れんげ「うん、お邪魔します、なのん」

れんげ「……なっつんの部屋」

れんげ「昔は散らかってて、でも楽しい物が沢山あったのんな」

れんげ「今は片付いてて、うっすらと埃が被ってる」

れんげ「……」

れんげ「今でもなっつんの匂い」

れんげ「なっつんの膝に乗って漫画読んでた時の、あの頃のまま」

れんげ「……流石に今じゃ膝には乗れないかな?」

れんげ「さて、次はこまちゃんの部屋に行くん!」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 22:12:56 ID:kZ0jLuvm0
れんげ「しかしこれはまあ、なんと」

れんげ「無理して大人ぶってる割に、可愛らしいものが多いのん」

れんげ「聞くところによると、こまちゃんはうちより結構背が低いのん」

れんげ「雪子さん調べなのん」

れんげ「こまちゃんの部屋は、ちょっぴり匂いが薄いのん」

れんげ「……1年が、すごい差を実感させてくる」

れんげ「やっぱりなっつんの部屋のが落ちつくのんな!」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 22:21:32 ID:kZ0jLuvm0
雪子「れんげちゃん、西瓜切ったから食べなさい」

れんげ「あ、おばさんありがとう」

れんげ「なのん!」

雪子「やっぱり夏海がお姉さんしてたから、夏海の部屋の方が居心地良いのかしらね」

れんげ「……そんな感じ、なのん」

雪子「なんなら泊まってっても良いからね」

れんげ「もう少ししたら帰るのん」

雪子「そう、それじゃあお皿はこのまま置いていって良いから、好きにしててね」

れんげ「はい」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 22:28:32 ID:kZ0jLuvm0
れんげ「今日も風が冷たい」

れんげ「去年はほたるんと雪でこまだるま作った」

れんげ「こまだるま以外にもまともな雪だるまも、カマクラも作った」

れんげ「今年は一人、雪遊びは卒業かな……」

れんげ「……」

れんげ「はっ! 気を抜いたら駄目なん!」

れんげ「今年もカマクラ作るん! 具と一緒にカマクラでダラダラするのんな!」

れんげ「だから今年も遊び倒すのん!」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 22:41:41 ID:kZ0jLuvm0
れんげ「そして時間は流れるん」

れんげ「うちは今、中学3年生」

れんげ「最近のお姉ちゃんはなんだかバタバタしてる」

れんげ「うちが高校に行くための準備をしているらしい」

れんげ「みんながいなくなってから、四回目の冬」

れんげ「うちは、ひかげお姉ちゃんがいた高校を受けるために勉強してる」

れんげ「東京、ほたるんがいたところ」

れんげ「東京、ほのかちんがいるところ」

れんげ「なんだか夢が広がって来る、広がって来るのん!」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 22:50:33 ID:kZ0jLuvm0
れんげ「ひゅー、ひゅー」

れんげ「具、きっとこれから会える日はかなり減るんだよね」

れんげ「寂しいね、ずっと一緒にいたかったんだけどな」

れんげ「でも、よく頑張ってくれたね、具」

れんげ「ずっとうちを支えててくれて、ありがとう」

れんげ「今日はお礼に、具が好きだったご馳走を用意したんだよ」

れんげ「食べてくれるかな?」

れんげ「……」

れんげ「それじゃあ、そろそろ帰るね」

れんげ「本音を言うと、あと数ヶ月、4月までは頑張って欲しかったな」

れんげ「でも、ありがとう」

れんげ「うちの大好きな具、本当にありがとう、また、必ず来るのんな!」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 22:59:58 ID:kZ0jLuvm0
れんげ「春休み」

れんげ「もう中学生もおしまい、高校生になる」

れんげ「高校にいくための引っ越しの準備もしてる」

れんげ「でも、最後にすることがあるからうちは学校にいます」

れんげ「お世話になった校舎の大掃除」

れんげ「毎年うちと一穂お姉ちゃんの二人きりで大変でした」

れんげ「でも今年は、うち一人での大掃除です」

れんげ「一穂お姉ちゃんは部屋探しとか色々でしばらく東京に、ずるい」

れんげ「うちには出来ないことだから仕方ないけど、一人で校舎の大掃除は大変だな」

れんげ「……頑張るのん!」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 23:07:10 ID:kZ0jLuvm0
れんげ「……」

れんげ「……あいつの二代目に一杯食わされてしまいました」

れんげ「でもトウキビ蒔いたから、きっと一穂お姉ちゃんがそのうち釣れ……」

れんげ「……ない!」

れんげ「そういえば、東京にいるんでした」

れんげ「……」

れんげ「……」

れんげ「こういうとき、隠されし脱出手段があるのが密室のお決まりなのん」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 23:11:43 ID:kZ0jLuvm0
れんげ「すぅ……すぅ……」

ユサユサ

れんげ「んん……」

?「れんちょん、ねえれんちょん起きなよ」

れんげ「あれ、この声……」

夏海「はぁ、やっと起きたね」

れんげ「なっつん? なっつん!」

ガバッ

夏海「ちょっ、わあぁっ!」

ドサッ!

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 23:18:12 ID:kZ0jLuvm0
夏海「いやぁー、トウキビ拾ってたられんちょんが兎小屋で寝てるんだもん! ビックリしたってもんじゃないよ!」

れんげ「……」

夏海「ん? なに? そんな変な顔してさ」

れんげ(一穂お姉ちゃんだけじゃなく、なっつんも釣れました)

夏海「まあ良いや、それよりれんちょん、おっきくなったねー!」

れんげ「なっつんはすごくおっきくなってるのん」

夏海「そう? 最後に会った時とそこまで変わらなくない?」

れんげ「いや、変わってるのん、豊作なのん」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 23:26:16 ID:kZ0jLuvm0
れんげ「ところでなっつん、どうしてこっちに?」

夏海「母ちゃんから電話あってさー、なんと、れんちょんの手伝いに来たんだよ!」

れんげ「なっつんが、大掃除の手伝いに?」

夏海「そーそー」

れんげ「わかったのん、うちは夢を見ているのん、目を覚ますとうちは小学一年生、ほのかちんと思いっきり遊ぶのんな」

夏海「うちが手伝うってことは夢レベルに有り得ないの!?」

れんげ「もしくはなっつんは本当はなっつんじゃなく、こまちゃんが成長した姿なのん」

夏海「うちはうちだから! 少しくらい信用してぇー!」

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 23:38:13 ID:kZ0jLuvm0
夏海「ってな感じで、姉ちゃんとほたるんは同じ大学でさ、今は三人で住んでるんだよね」

れんげ「三人で?」

夏海「そうそう、家事はほたるんがしてくれて、色んな手続きとかは姉ちゃんがしてくれてるんだよねー」

れんげ「……なっつんはなにしてるん?」

夏海「う、うちはほら! バイト! バイトしてるし!」

れんげ「バイト? なっつんアルバイトしてるん?」

夏海「すっげーしてるよー、最初にやってたパチンコ屋とか、玉運ぶだけで目茶苦茶重宝されたし!」

れんげ「……最初にやってた?」

夏海「ほ、ほらパチンコ屋ってタバコ臭くて空気悪かったからさ! あ、れんちょんそこまだ汚れてる!」

れんげ「このくらいならそこまで気にしなくても」夏海「甘い! 甘いよれんちょん!」

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 23:47:29 ID:kZ0jLuvm0
夏海「ざっとこんなもんよ!」

れんげ「なっつん、色んなアルバイトしてたんなー」

夏海「ふふん、バイトクイーンの夏海ちゃんとはうちのことさ!」

れんげ「……でも数年で何十個のバイトするって、辞めまくりなのん」

夏海「だって覚えることなくなって飽きて来たらやる気出ないしー、夏海ちゃん悪くないもーん」

れんげ「……」

夏海「そ、それに最近は雑誌の表紙にのったりもしたし? ほらー!」

れんげ「わぁー、なっつん、モデルさんもしてたんなー!」

夏海(ほたるんがこれより有名な雑誌に乗ったことは、言わないでおこう)

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 23:59:46 ID:kZ0jLuvm0
れんげ「昨日で大掃除が終わったのん」

れんげ「あの後、一人は寂しいだろうからと、なっつんの家に泊まることになったのん」

れんげ「久々のなっつん、話は弾んで、朝まで話をしてたのんな」

れんげ「うち、今まで地元から出るのは寂しいと思ってた」

れんげ「でも、都会の方にはみんながいる、寂しくないのん」

れんげ「だから、具も安心してね」

れんげ「これからの日々はいつもとは違う、そんな日々」

れんげ「だけどみんながいるなら、きっと楽しい日常が待ってる」

れんげ「うちももう高校生になるんなー!」

れんげ「すごく、すごく楽しみなのん!」

おしまい