1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/24 23:03:02 ID:9mSekcbq0
律子「……それはわたしたちが聞きたいです」

あずさ「あら~」

伊織「なによここ……、建物と言えばお寺ばっかりじゃない……」

あずさ「てら~」

亜美「お寺がいっぱい……お寺と言えば……」

あずさ「なら~」

律子「でも人の気配は一切ないし……」


伊織「んもー!ここは一体どこなのよおー!」

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/24 23:08:06 ID:9mSekcbq0
伊織「本当に誰もいないわけ!?失礼しちゃうじゃない、まったく!」

律子「携帯も電波が入らないわ……」

亜美「うあうあー!ガッツリ迷子だよー!」

あずさ「あらあら~」フラフラ

律子「ちょ、あずささん!勝手に行かないでください!」

伊織「今あずさを迷子にする隙はないわ!追いかけるわよ!」

あずさ「うふふ、ヘンな建物がいっぱいね~」フラフラ

亜美「待ってよー、あずさお姉ちゃーん」

あずさ「あ」ピタ

伊織「わっ、何よ、急に止まって」

あずさ「あれー」

亜美「何?」

あずさ「倉~」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/24 23:11:03 ID:9mSekcbq0
伊織「倉……?」

律子「この倉がどうかしたんですか?あずささん?」

あずさ「入ってみるわねー」ガラガラ

伊織「ちょっと、待ちなさいって……」

あずさ「……」

亜美「どしたの?あずさお姉ちゃん」

あずさ「カラ~」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/24 23:15:19 ID:9mSekcbq0
伊織「……そうね、カラね」

律子「……残念でしたね、あずささん」

あずさ「ええ、残念ね~」キョロキョロ

亜美「ていうかココ、埃っぽいよー」

伊織「ほら、満足した?出るわよ……」

グルルルルル

律子「……な、何の音……?」

グルルルルルル

亜美「嫌な予感がするよ……」

あずさ「あらー、何かしらー」クルッ

あずさ「……」

あずさ「あら~、トラ~」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/24 23:19:23 ID:9mSekcbq0
伊織「ひいいいいい!」

亜美「と、トラああああ!」

トラ「グルルルルルル……」

律子「どどどど、どうしましょう……」

トラ「グルルルルルルルル……」

伊織「決まってるじゃない!逃げるのよ!」

亜美「亜美お先に!」ダッ

律子「ま、待ちなさいよ!亜美!」ダッ

伊織「わ、私も……!」

あずさ「……」

伊織「何してるのよ!あずさ、逃げるわよ!」ガシッ

あずさ「あら?」

ダダダッ

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 01:11:37 ID:x+FWj+bc0
>>9見逃してた
それ俺だわ

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/24 23:25:58 ID:9mSekcbq0
律子「ハァ、ハァ……」

亜美「ゼェ、ゼェ……」

伊織「ハァ……、ゲホッ」

亜美「に、逃げ切ったの……?」

律子「え、ええ、そうみたいね……」


伊織「ハァ……、で、ここは、ハァ……どこなのよ……」

亜美「なんか……さっきとはまた違う感じの所だね……」

あずさ「あらあら~」テクテク

律子「ちょ、ちょっとあずささん、勝手に行かないでってば……」

あずさ「みんな、あれ~」

伊織「何よ……?」

あずさ「村~」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/24 23:27:50 ID:9mSekcbq0
伊織「は?……村?」

律子「あずささん、村があるんですか?」

あずさ「ええ、そうみたいですね~」

亜美「い、行ってみようよ!」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/24 23:32:57 ID:9mSekcbq0


律子「ホントに村ね……」

伊織「随分古臭い村ね……」

亜美「あ、屋根が藁だよ」

あずさ「わら~」

律子「……それにしても」

伊織「……ええ、ここも人っ子一人見当たらないわね」

亜美「みんなお出かけ中なんじゃない?」

ボオオオオオオオ

亜美「あ、なんか聞こえるよ」

伊織「この音……法螺貝?」

あずさ「ほら~」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/24 23:36:16 ID:9mSekcbq0
ボオオオオオオ、ボオオオオオオ

律子「随分長いこと吹くわね……」

亜美「な、なんか不気味だよ……」

あずさ「あっ」

伊織「今度は何よ!」

あずさ「トラ~」

トラ「グルルルルル……」

律子「ま、またトラー!」

亜美「しかも今度は1頭だけじゃないよ!」

トラたち「グルルルルルル……」

伊織「完全に、囲まれたわ……」

あずさ「あらあら~」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/24 23:37:51 ID:9mSekcbq0
亜美「ど、どうすんのさ!これえ!」

律子「どうったって……」

伊織「こんなのどうしようもないじゃない!」

亜美「もうだめだぁ、おしまいだあ……」

あずさ「……」

あずさ「大丈夫よ~みんな~」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/24 23:42:24 ID:9mSekcbq0
伊織「はあ!?大丈夫って……」

律子「何処が大丈夫なんですか!?」

あずさ「うふふ~、見ててね~」スタスタ

あずさ「こんにちは、トラさん」

トラ「グルルルルルル」

亜美「あ、危ないよ!お姉ちゃん!」

あずさ「……オラ~」ドゴ

トラ「グルッ……」

あずさ「うふふ、もう一回、オラ~」ドゴォ

トラ「」

あずさ「うふふ~、安全でしょ?」

伊織「」

律子「」

亜美「……えっ」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/24 23:46:19 ID:9mSekcbq0
あずさ「残りも任せて~」

あずさ「オラオラオラオラオラオラ~」ドドドドドドド

トラ「」

亜美「す、すごいトラたちがみるみる……」

あずさ「仕上げよ~」

あずさ「メラ~」

ボウッ

亜美「」

トラ「……」ボウ

亜美「と、トラが……」

あずさ「はい、お終いよ~」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/24 23:49:36 ID:9mSekcbq0
あずさ「もう大丈夫よ~亜美ちゃん」

亜美「あ、う、うん……」

律子「」

伊織「」

亜美「あ、二人とも、もう終わったってさ……」

律子「……はっ!」

伊織「いけない、ちょっとボーっとしてたわ……」

伊織「って何よこのトラの山……」

亜美「……気にしない方が良いよ……」


村長「す、素晴らしい!」

あずさ「あら~?」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/24 23:53:25 ID:9mSekcbq0
伊織「……誰よ、アンタ」

村長「ワシはこの村の村長じゃ」

亜美「村長さん?」

村長「いかにも」

村長「……時にそこの大きいお方!先ほどのこと、見ておりましたぞ!」

あずさ「あら~?」

村長「素手であの数のトラを対峙してしまうとは、恐れ入る!」

あずさ「うふふ~、ありがとうございます~」

村長「お礼ががしたい、ぜひワシの家へ……」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/24 23:57:48 ID:9mSekcbq0
村長「それ、こんなものしかないが召し上がってくれ、鱈と鯔の鍋じゃ」

あずさ「うふふ、頂きます~」

律子「久しぶりの食べ物……」

亜美「美味しい、美味しいよ~」グスッ

伊織「泣くんじゃないわよ……」


村人A「トラを倒してくれてありがとう!」

村人B「これでしばらくはトラを恐れずに狩りができます!」

村人C「沢山召し上がってください!」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 00:01:14 ID:x+FWj+bc0
伊織「何よ、この村、いっぱい人がいるじゃない」

村長「ああ、それはな、法螺貝の音が聞こえたじゃろ」

律子「そう言えば、鳴っていましたね」

村長「あれが、トラが現れたっちゅう合図でな、みな一斉に家の中に非難するんじゃ」

伊織「ああ、それで……」

グワァァァァァァン! グワァァァァァァン!

亜美「うるさ!何の音?」

あずさ「ドラ~」

村長「い、いかん!ドラの音じゃ!」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 00:05:52 ID:9mSekcbq0
伊織「は?ドラの音が何なのよ?」

村長「実はこの村を襲う動物は、トラ共だけでは無くてな……」

村長「このドラの音は、もう一方の奴が来ることを知らせるドラじゃ……」

律子「……どんな奴なんですか?それって」

亜美「ん~トラとくれば、ライオン?」

あずさ「コカトリスよ」

亜美「へ?」

あずさ「この村を襲っているのは、大怪鳥コカトリスよ」

伊織「……は?あんた何言ってんの?」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 00:09:41 ID:x+FWj+bc0
律子「そ、そんなわけないじゃないですか、ねえ村長?」

村長「……いや、残念ながらその通りじゃ」

伊織「は、はああああああ!?」

伊織「いや、アンタたち何言ってんのよ!」

伊織「○ラの法則どこ行ったのよ、○ラは!」

伊織「今まで全部そうだったじゃない!」

あずさ「……?何のこと?」キョトン

村長「そんなに都合のよい法則があるわけないじゃろ?」

伊織「きいー!ムカつくー!」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 00:13:22 ID:x+FWj+bc0
亜美「……で?そのコカなんとかってのはどこから来るの?」

あずさ「そら~」

伊織「!!」

律子「……伊織、ここは我慢しましょう、ね?」

伊織「……」

村長「い、いかん!そうこうしているうちに奴が来るぞ!」

律子「そ、そうよ、逃げないと!」

村長「そうじゃ、言い忘れておった」

村長「特に奴は、幼い女児を良く狙うぞ!」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 00:16:34 ID:x+FWj+bc0
伊織「……は?」

村長「そう、特にアンタぐらいの感じの子をな!」

伊織「は、はあああああ!?」

伊織「何よその理不尽!じゃあ亜美はどうだってのよ!」

村長「相手は人間じゃない!見た目重視に決まってじゃろ!」

亜美「だってさ、いおりん」


村人A「うわああああああ!コカトリスが来たぞおおおおおおお!」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 00:20:04 ID:x+FWj+bc0
コカトリス「ギャース!ギャース!」

亜美「でっか!コカトリスでっか!」

コカトリス「……」キョロキョロ

律子「獲物を探してるわね……」

伊織「……大丈夫、大丈夫よ伊織……」ブツブツ

コカトリス「……!」ピーン

亜美「あ、いおりんと目があったね」

コカトリス「ギャァァァァース!!」バサー

伊織「いやああああああ!」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 00:23:59 ID:x+FWj+bc0
伊織「……何で、こんなことに」ブツブツ

亜美「逃げて!いおりん逃げて!」

伊織「そもそも最初っからバッカじゃないの、何よ語尾が『ラ』縛りって」ブツブツ

律子「伊織ー!」

伊織「あー、分かったわよ、分かったわよ、やってやるわよ」ブツブツ

コカトリス「ギャース!」

亜美・律子「伊織ーん!」

伊織「は……」

伊織「腹ぁ!」スドォ!

コカトリス「!!」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 00:29:02 ID:x+FWj+bc0
亜美「い、一撃入った……!」

伊織「裏ぁ!」ドゴォ!

律子「う、裏拳!」

伊織「皿ぁ!」バキィ!

村長「ひ、膝を折りに!」

コカトリス「グェェ……」ヨロッ

亜美「よろけた!」

律子「と、とどめよ伊織!頭に思いっきりいっちゃいなさい!」

伊織「お……」

伊織「オラああああああああああああ!!!!」

グワァァァァァァン!

あずさ「ドラ~」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 00:33:24 ID:x+FWj+bc0
伊織「ハァ……ハァ……」

コカトリス「」

亜美「す……」

亜美「凄いぜいおりん!コカトリスを倒しちゃったよー!」

律子「人間追い込まれればやるもんね……!」

あずさ「あらあら~」

村長「あ、ありがとうございます!まさかコカトリスまで……!」

伊織「い、いいってことよ……」ゼェゼェ

村長「今夜は祭りです!ぜひご参加ください!」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 00:36:07 ID:x+FWj+bc0


村人たち「わーっしょい、わーっしょい」

亜美「うまっ!コカトリスうまっ!」モグモグ

伊織「ダシがきいてるわね……」

あずさ「鳥ガラ~」

律子「それはもういいです……」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 00:40:39 ID:x+FWj+bc0
伊織「まあ、この村が助かったのは良いんだけど……」

律子「結局、どっちに行けば事務所に帰れるのかは分からないままだったわね……」

亜美「亜美は楽しかったから、もうちょっとこの辺で遊んでもいいけどねー」モグモグ

伊織「アンタは能天気ね……」

あずさ「楽しかったかしら~?亜美ちゃん」

亜美「うん!」

あずさ「うふふ~それは良かったわ~」

律子「でも、ずっとこうしてるわけにもいかないでしょう」

伊織「そうよ、仕事だって立て込んでるんだし……」

あずさ「あら~それじゃ、帰りましょうか~」

伊織「え?」

律子「え?」

亜美「あ、ニラも入ってる」モグモグ

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 00:44:39 ID:x+FWj+bc0
律子「か、帰れるんですか!?」

あずさ「ええ、帰れますよ?」

伊織「アンタ、それを早く言いなさいよ!」

あずさ「今すぐ帰りますか?」

律子「か、帰ります帰ります!」

あずさ「うふふ~、それじゃ、行きますよ?」

あずさ「ぐらぐら~」

ゴゴゴゴゴゴ…

伊織「きゃあ!何よこれ、揺れてるじゃない!」

律子「あわわわわわ!」

あずさ「ぐらぐら~」

ゴゴゴゴゴゴゴ…

律子「ちょ、立ってられないわ……」

伊織・律子「きゃああああ!」

グニャア~

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 00:48:32 ID:x+FWj+bc0
伊織「はっ!ここは……」

律子「765……プロ……」

小鳥「あら、お帰りなさい4人とも」

亜美「帰って来たのー?」

伊織「な、何だったの一体……」ドサッ

律子「疲れた……」ドサッ

小鳥「あらあら、お疲れですか?」

伊織「ああ、ごめん小鳥、そのあらあらってやめてくれないかしら」

小鳥「え、ええ?」

伊織「当分聞きたくない言葉ね……」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 00:53:10 ID:x+FWj+bc0
伊織「ホント、何だったのよ……」

あずさ「うふふ、でも、やっぱりみんなで行くと楽しかったわね~」

伊織「……みんなで行くと?」ピクッ

律子「……楽しかった?」ピクッ

あずさ「あっ」

伊織「……ふーん、あずさアンタ、前に一人で行ってきた見たいな言い方するのね?」

あずさ「あ、あら~?」

律子「……そういえば、あずささんに言えばすぐ帰れたんですよね?どうして最初っからそうしなかったんですか?」

あずさ「あ、そ、それは~……」

伊織「それは?」

律子「何ですか?」

あずさ「あ、あの……」

あずさ「……しら~」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 00:59:46 ID:x+FWj+bc0
律子「そんなんで誤魔化せるわけないでしょう!?」

伊織「アンタやっぱり迷子の振りしてあのよく分からないところにr私たちを連れてったのね!?」

あずさ「あ、あらあら~」

あずさ「……それじゃあ、亜美ちゃん、帰りましょう?今日は疲れたでしょう?」

亜美「あ、帰る帰るー」

あずさ「そういうわけで、律子さん、伊織ちゃん、それじゃあ……」

伊織「こ、」

亜美「こ?」

律子「こ……」

伊織・律子「コラァ!あずさぁ!」

あずさ「うふふ、亜美ちゃん、逃げるわよ~」タタッ

亜美「あ、待ってよー!あずさお姉ちゃーん!」ダッ

伊織・律子「コラー!待ちなさーい!」

                       おわり

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/11/25 01:01:17 ID:x+FWj+bc0
終わりです、ありがとうございました
見切り発車って怖いね