1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 02:50:10.97 ID:vUvREr+30
やよい「見た事無い木が沢山ある…」

伊織「顔みたいな模様ね」

やよい「や、やめてよ伊織ちゃん!」

伊織「木だけじゃなくて、石とかも変な形してる」

やよい「ほんとだ…」

伊織「何なのよ、これ…」

伊織「!?」

伊織「や、やよい…」

やよい「?」

伊織「空…」

引用元: 伊織「イタタ…」やよい「ここ、どこ…?」

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 02:50:42.16 ID:vUvREr+30
やよい「…わっ!!」

伊織「虹色…」

やよい「…伊織ちゃん、ここ、本当に群馬なの?」

伊織「群馬にこんな場所あるわけないじゃない!」

伊織「群馬?」

伊織「…そうよ、ロケバス!!ロケバスはどこ!?」

やよい「あれ?本当だ!たしか旅番組の収録に…」

やよい「でも、道路もバスも、どこにも無いよ?」

伊織「何がどうなってるの…!?」

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 02:51:14.17 ID:vUvREr+30
伊織「とにかく、プロデューサーに電話をかけて状況を報告しましょう」

伊織「このままじゃ番組全体に迷惑がかかるわ」

やよい「うう…」

伊織「?」

やよい「ない…」

やよい「事務所で借りた携帯電話なのに、なくしちゃった…」

伊織「何やってるのよやよい…」

やよい「ごめん、伊織ちゃん…」

伊織「大丈夫よ、私がかけるから」

伊織「…あれ?」

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 02:51:50.95 ID:vUvREr+30
伊織「無いわ…」

やよい「えっ?伊織ちゃんも?」

伊織「そんな筈は…」

伊織「…本当に無い」

やよい「…」

伊織「バッグの、ここに絶対入れてるのに…」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 02:52:21.47 ID:vUvREr+30
やよい「いやっ!」

伊織「どうしたのやよいっ!」

やよい「な、なんか、あの変な色の草」

やよい「動いた…」

伊織「え?草が動くわけないでしょ」

やよい「で、でも…」

伊織「…」

伊織「気味が悪いわね」

伊織「早くバスを探しましょう。なんだか、ヤバイ予感しかしないわ」

やよい「うん…」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 02:52:56.18 ID:vUvREr+30
伊織「…あ!」

やよい「どうしたの?伊織ちゃん」

伊織「うさちゃんが…シャルルがいない!」

やよい「あ!本当だ」

伊織「どうしよう…。ずっと抱いてた筈なのに…」

やよい「伊織ちゃん!」

やよい「シャルルもいっしょに探そうよ!」

伊織「ありがとう、やよい…。そうするわ」

伊織「(シャルル…どうして…?)」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 02:53:27.37 ID:vUvREr+30
やよい「ねえ、伊織ちゃん。なんだか水の音が聞こえない?」

伊織「…」

伊織「…本当ね。近くに川でもあるのかしら」

やよい「音のする方、行ってみる?」

伊織「そうね…何か分かるかもしれないし」

伊織「バスを探しながら行ってみましょう」

やよい「シャルルもね!」

伊織「…うん」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 02:54:02.66 ID:vUvREr+30
やよい「あ!ヘリコプター!」

伊織「えっ!?うそ!?」

やよい「…あれ?」

伊織「…ヘリコプターなんて、どこにも飛んでないじゃない」

やよい「ヘリコプターの音、聞こえたと思ったんだけどなぁ…」

伊織「もう、何が起こるか分からないわね」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 02:54:34.35 ID:vUvREr+30
伊織「きゃっ!!」

やよい「今度はどうしたの!?」

伊織「今、すごい揺れなかった!?」

やよい「え?ぜんぜん揺れなかったよ?」

伊織「うそ…。あんなにグラついたのに」

やよい「そんな…」

やよい「うわっ!?」

伊織「やよい!?」

やよい「わ、私も今すごい揺れたかも!」

伊織「何なのよ、もう…!」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 02:55:08.53 ID:vUvREr+30
やよい「どこまで行っても、景色、変わらないね…」

伊織「もうこの木、見たくないわ…」

やよい「でも、水の音は近付いてるよ」

伊織「そうね。何か、手がかりが掴めるといいんだけど…」

やよい「…」

伊織「…」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 02:56:15.16 ID:vUvREr+30
やよい「…こんな時に、プロデューサーがいればなぁ」

伊織「あんな奴がいたって、なんの役にも立たないわよ」

やよい「そうかな…」

伊織「どうせ当てもなく色々試して、勝手にぶつぶつ言って…」

伊織「私がどうしようって言っても、『大丈夫だ』しか言わなくて…」

伊織「…」

伊織「まぁ、心の支えみたいなのには、なるかもね…」

やよい「…」

伊織「…あのバカ、この肝心な時に何してるのよ…!」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 02:57:24.19 ID:vUvREr+30
やよい「伊織ちゃん、手、繋いでもいい?」

伊織「へ?そ、そんなの、いいに決まってるじゃない!」

やよい「…」ギュ

伊織「…」

やよい「私、怖いなって…」

伊織「…」

やよい「もし…」

やよい「もしこのまま帰れなかったら…」

やよい「かすみは、まだ料理はできないし…」

やよい「朝、皆を起こすのだって、長介に任せるのは心配だし…」

やよい「洗濯も、」

伊織「やよい!!」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 02:58:10.73 ID:vUvREr+30
やよい「っ…!?」

伊織「…大丈夫よ、すぐ帰れるわ。大丈夫」

やよい「あ…ごめん、伊織ちゃん」

伊織「いきなり大声出してごめんね、やよい」

やよい「ううん、私、弱気になってたかも」

やよい「絶対に帰れるよね!頑張ろう、伊織ちゃん!」

伊織「そう、その意気よ!」

伊織「こういう時こそ、このスーパーアイドル伊織ちゃんに任せなさい!」

やよい「伊織ちゃん、頼もしいー!」


伊織「…」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 02:59:34.53 ID:vUvREr+30
伊織「あ、川じゃない?あれ」

やよい「本当だ!」

やよい「川も虹色…」

伊織「もういい加減気分が悪くなってくるわね…」

やよい「ああっ!見て、伊織ちゃん!」

伊織「へ?」

やよい「川の向こう側だよ!あれ!」

伊織「あ!」

伊織「シャルル!!」

やよい「…でも、なんだか様子が変かも」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:00:54.81 ID:vUvREr+30
伊織「待っててね、今そっちに行くから…」

シャルル「駄目!」

伊織「え?」

やよい「えっ!?」

シャルル「来ちゃ駄目!」

やよい「シャルルが、喋ってる…」

伊織「何言ってるの?シャルル」

シャルル「来ないで!!」

伊織「来ないでって、どうして…」

シャルル「私、あなたの事が大嫌いだったの!!」

伊織「え…」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:01:34.36 ID:vUvREr+30
伊織「そんな…」

伊織「そんな筈無いわ!」

やよい「い、伊織ちゃん…」

伊織「私はシャルルの事が好きだったし、シャルルは私の事も好きだった」

伊織「だからずっと、相談にも乗ってくれた」

伊織「そうでしょう!?」

シャルル「迷惑だったのよ、ずっと」

伊織「!?」

シャルル「だから、もう来ないで」

シャルル「さようなら」

伊織「ま、待って!シャルル!!待って!!!」ザバ

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:02:25.15 ID:vUvREr+30
やよい「いっ、伊織ちゃん!!」グイ

伊織「痛い!!やめてよ、やよい!!」ザバッ

やよい「駄目だよ、伊織ちゃん!行っちゃ駄目!!」

伊織「離して!!離してよ!!」

やよい「伊織ちゃん!!」

伊織「やよいに…、やよいに、何が分かるのよ!!」


パンッ

やよい「うぁっ…」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:03:12.73 ID:vUvREr+30
伊織「あ…」

やよい「う、大丈夫だよ、伊織ちゃん、大丈夫」

伊織「ご、ごめんなさい、やよい、私…」

やよい「伊織ちゃん…」

やよい「シャルルの事、本当に好きなんでしょ?」

伊織「…」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:03:58.49 ID:vUvREr+30
伊織「小さい時からね、ずっと一緒だったの」

伊織「もう家族みたいなもんだったわ」

伊織「腕が取れて綿がはみ出ちゃった時は、一晩中泣きながら繕った」

伊織「一日だって、別々で寝た事もないのよ」

伊織「…こんなのって、無いわよね」

やよい「…」

やよい「伊織ちゃん、本当に嫌われたと思ったの?」

伊織「え?」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:04:38.53 ID:vUvREr+30
やよい「私、シャルルが伊織ちゃんの事大好きなの、伝わってきたよ」

伊織「で、でも、大嫌いって…」

やよい「シャルルは、きっと帰ってくるよ」

やよい「気付いたんだ、私」

伊織「気付いた…?」

やよい「伊織ちゃん、よーく耳を澄まして」

伊織「…?」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:05:12.73 ID:vUvREr+30
やよい「…」

伊織「!?」

伊織「や、やよい、足…!」

やよい「伊織ちゃん…」

伊織「どんどん消えてってる…!」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:05:58.64 ID:vUvREr+30
やよい「伊織ちゃんも、耳を澄まして…」

伊織「あ…消えちゃう…やよいが…」

やよい「大丈夫…」

伊織「待って、やよい!」

やよい「…」

伊織「やよいまで行かないで!!」

やよい「大丈夫だよ…」

伊織「私を一人にしないでっ!!」

やよい「…」

伊織「やよいいいっ!!!」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:06:38.48 ID:vUvREr+30
伊織「私、どうすればいいの…?」

伊織「シャルルも、やよいも、皆いなくなっちゃって、私」

伊織「どうすればいいの…」


30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:07:34.09 ID:vUvREr+30
伊織「…」

伊織「やよい…」

伊織「あれから…」

伊織「どれぐらい経ったのかしら…」

伊織「…」

伊織「シャルルは、この川の向こうに行ったのよね…」

伊織「…行ってみようかな」

やよい『駄目だよ、伊織ちゃん!行っちゃ駄目!!』

伊織「…」

やよい『シャルルは、きっと帰ってくるよ』

伊織「何よ…」

伊織「何よ、何も知らないくせに!!」ザバザバ

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:09:24.96 ID:vUvREr+30
ザバザバ

伊織「断りもせず、勝手に消えちゃって!!」

伊織「ホント、世間の常識ってもんが成ってないのよ!!」

伊織「消える時ぐらい挨拶しろっていうのよね!!」

伊織「こっちの思いも知らないで!!」

伊織「やよい、は、私の思いも知らないくせに、」

伊織「…」ザバ…

伊織「何言ってんのよ、私…」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:10:16.40 ID:vUvREr+30
伊織「…なんだか…」

伊織「眠くなってきたわね…」

伊織「川を渡ってるっていうのに…」

伊織「…」

伊織「きゃっ!」ザバン!!

伊織「(やだっ、転んじゃった!服が…)」

伊織「(…濡れてない…)」

伊織「(あれ?息ができる…)」

伊織「(…)」

伊織「(起き…上がらなきゃ)」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:12:04.00 ID:vUvREr+30
伊織「(あ…)」

伊織「(これ、走馬灯ってやつかしら…)」

伊織「(思い出が、電車の窓みたいに流れていく)」

伊織「(あれは…やよいに紹介してもらった、庶民のレストラン…)」

伊織「(ちょっと騒がしかったけど…)」

伊織「(悪くなかったわね)」

伊織「(お水なんて、自分で入れるのに)」

伊織「(勝手に人の分まで入れてくるなんて…)」

伊織「(ホント、やよいってお人好しよね)」

伊織「(私が横に付いてなかったら、何度騙されてた事か)」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:13:10.12 ID:vUvREr+30
伊織「(…今度は)」

伊織「(まだ売れてない時に行った海ね)」

伊織「(雪歩と真を怪談で驚かしてたら…)」

伊織「(貴音が丁度そのタイミングで後ろに佇んでて…)」

伊織「(本当に幽霊かと思って、全力で逃げたっけ)」

伊織「(今思い出しても恥ずかしいわ…)」

伊織「(…)」

伊織「(やよい…)」

伊織「(プロデューサー…)」

伊織「(もう一度だけ、皆の声が聞きたかったな…)」

伊織「(…)」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:13:46.05 ID:vUvREr+30
伊織「(何がスーパーアイドル伊織ちゃん、よ)」

伊織「(一人じゃ何にも出来ないじゃない…)」

伊織「(…)」

伊織「(シャルル…)」

伊織「(皆…)」

伊織「(…)」

伊織「(会いたいよ…)」


伊織「(皆…!)」ジワ…

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:14:39.84 ID:vUvREr+30
やよい『伊織ちゃん、よーく耳を澄まして』


伊織「(…)」

伊織「(…耳を澄ましたって)」

伊織「(川の音しか…)」


やよい『伊織ちゃんも、耳を澄まして…』


「……り」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:15:21.88 ID:vUvREr+30
伊織「(…)」

「…お…ちゃん…」

伊織「(…?)」

「…んじ…して……いお……!!」

伊織「(え…!?)」

「いお…ちゃん…!」

伊織「(声だわ…)」

伊織「(プロデューサーと…小鳥の声…!!)」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:16:18.58 ID:vUvREr+30
ピーーーーーー


ナース「心拍数、ゼロ…」

医者「…」

P「伊織…!」

医者「…皆さん」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:17:04.81 ID:vUvREr+30
小鳥「伊織ちゃん…!」

医者「残念ですが、彼女は…」

医者「もう…」

P「伊織、返事をしてくれ!!伊織!!」

小鳥「伊織ちゃんっ!!」

医者「…」

ナース「…」



ピッ     ピッ

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:18:02.47 ID:vUvREr+30
ナース「えっ…!?」

ナース「先生!!心拍数、血圧、共に上昇しています!」

医者「まさか…!」

医者「呼びかけに反応して?いや、そんな…」

P「伊織!!伊織!!!」

小鳥「伊織ちゃん!!!」


伊織「…ば…」

伊織「ばか……聞こ…てるわよ…」


P「い…!!!!」

小鳥「伊織ぢゃああああん!!!!」

ナース「心拍数20、30…!!」

ナース「せ、先生!!すごい…!!」

医者「こんな事が…」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:18:42.18 ID:vUvREr+30
伊織「……ぷろ……でゅ」

P「伊織、無理して喋らなくていい」

小鳥「いっ、い゛お゛り゛ぢゃぁあああん!!!!!」

P「音無さん、うるさいです…」

小鳥「ご、ごべんなざぁい…!!」

伊織「……!!や…よぃ……!!」

P「やよいは隣だ。一足先に意識が戻って、今は寝てるよ」

伊織「良か…た…」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:19:33.99 ID:vUvREr+30
伊織「……う…さ……」

P「うさ…シャルルか?」

P「シャルルはお前の横に寝かせておいたぞ」

P「ボロボロだったけど、伊織の力になってくれるかと思ってな」

伊織「あ…」

伊織「ありが………」

伊織「(そういう事だったのね…)」

伊織「(シャルル…大好き…)」

小鳥「いおりちゃん、良がっだ、良がっだぁ…!!!」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:20:41.22 ID:vUvREr+30
伊織「…痛……」

P「動くな動くな!崖から落ちての全身打撲だぞ!」

P「それにしても、あの高さから車ごと落ちてよく助かったな…」

小鳥「ズズッ、ちょ、ちょっと、プロデューサーさん…」

伊織「崖…?」

P「あ、いや、今話すような事じゃなかったな」

P「おかえり、伊織」

伊織「…」

伊織「…ただいま……」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:21:33.33 ID:vUvREr+30
小鳥「ふぅ…やっと落ち着いてきた…。お見苦しい所をお見せしてしまったわね」

小鳥「それにしても、本当に良かった…」

小鳥「二人とも奇跡的な回復だ、って言われてたけど…」

小鳥「ずっと横にいてくれた、プロデューサーさんのおかげかもしれないわね」

小鳥「あっ、プロデューサーさん!社長、なんて言ってましたか?」


P「ひっく、よ、よがっだって」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:22:23.95 ID:vUvREr+30
小鳥「ええっ!?プロデューサーさん、涙で顔、ぐしゃぐしゃですよ!!いつの間に!?」

P「だ、だっで、さっぎは伊織もいたしっ、ううっ」

小鳥「そ、そうですね…」

小鳥「(我慢してた分、一気に溢れちゃったのね。それにしても…)」

小鳥「(こんなプロデューサーさん、見た事無いわ…)」

P「事故で崖からおぢだって、聞いで、や、やよいも伊織も、帰っでごなかったらって、俺、俺」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:23:58.44 ID:vUvREr+30
P「でも、帰ってぎで、やよいも、伊織も、帰っでぎでくれだからっ」

小鳥「大丈夫ですよ、プロデューサーさん。もう泣いてもいいんですよ」

P「ううぅっ、おどなじざぁああああああん!!!!」バッ

小鳥「(ピヨォオオ!!不謹慎ながら棚ボタァアアッッ!!)」

小鳥「(あ…)」

小鳥「(あれだけ泣いたのに、また…)」

小鳥「(あたしもこんな感じだったのかな)」

小鳥「(やよいちゃん、伊織ちゃん)」

P「うう、っ、うぅ…」ボロボロ

小鳥「(お帰り…)」



おわり

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:25:53.04 ID:vUvREr+30
P「(結局あの後、年甲斐もなく泣き腫らした顔で事故の詳細を聞いた)」

P「(やよいと伊織の乗ったロケバスと普通乗用車が山道で正面衝突…)」

P「(対向車は飲酒運転で、中央線をはみ出して走行していたらしい)」

P「(車体の体格差からか当たり所か、対向車の運転手は即死。ロケバスは崖から転落)」

P「(しかし、落ちる間に木がクッションになったらしく…)」

P「(ロケバスの乗員は全員一命を取り留めたという。全く、奇跡としか言いようが無い…)」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:27:20.84 ID:vUvREr+30
P「(その後は、やよいの家族や、伊織の一族(?)、765プロの皆、その他関係者など)」

P「(続々とお見舞いが来て、人が途絶える事は無かった。流石の交友関係だな…)」

P「(容体は安定したと聞いてホッと胸を撫で下ろす者、泣き崩れる者、それを慰める者…)」

P「(人によって様々だったけど、あずささんが泣いてるのを雪歩が慰めてたのは意外だったな)」


P「(ちなみに、事故を起こした側には水瀬グループの方から何かあったらしい)」

P「(新堂さん曰く、『プロデューサー殿は、お仕事の方にご注力ください』との事だったので)」

P「(断じて許したわけでは無いが、新堂さんの声のトーンがマジだったのもあり、任せておく事にした)」


P「(やよい、伊織の空けた穴を埋めるべく業界が奔走する中…)」

P「(奇跡の生還者達は、これも正しく奇跡のようなスピードで回復を遂げていたのだった)」

P「(それは二人とて例外でなく…)」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:27:54.29 ID:vUvREr+30
P「という長々とした語り口調…」

伊織「ちょっと、アンタ」

P「ん?」

伊織「喉が渇いたわ、ブツブツ言ってないでオレンジジュースを頂戴」

伊織「勿論100%のやつよ」

やよい「つぶつぶオレンジ?」

P「お前、まだ点滴生活だろ…」

P「点滴中は飲食無しって、看護師さんに言われなかったのか?」

伊織「もういいのよ!見なさい、ほら!こんなに元気じゃない!」

P「そういう問題じゃなくてだな…」

やよい「プロデューサー、私もつぶつぶオレンジジュース欲しいかも!」

P「おいおい…」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:29:07.26 ID:vUvREr+30
ナース「もう大丈夫ですよ、今日で退院ですから」

P「あ、あの時の看護師さん!」

ナース「プロデューサーさん、ですね?」

P「本当にもう大丈夫なんですか?」

ナース「はい!」

伊織「そうよ!何よ、知らなかったの?久々にのこのこ顔を出してきたと思ったら」

伊織「アンタ、今日何のために来たのよ…」

伊織「ま、スーパーアイドル伊織ちゃんの力をもってすれば…イタタ」

やよい「あ、あんまり急に動いちゃだめだよ伊織ちゃん!」

伊織「こ、こんなの、もうちょっと安静にしてたらすぐ治るんだから!」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:30:16.87 ID:vUvREr+30
ナース「うふふ、よく頑張ったわね、水瀬さん、高槻さん。やっと退院ね」

やよい「はい!ありがとうございました!」

伊織「ま、神崎にしては良くやったんじゃない?」

ナース「ふふ、ありがと水瀬さん」

P「お前、病院でも…!!すいません、看護師さん…神崎さん?」

ナース「いえ、私も色々お話とか聞かせてもらっちゃって…」

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:31:18.66 ID:vUvREr+30
ナース「個人的な愚痴も聞いてもらっちゃったりしてたんで、大丈夫ですよ!」

P「は、はい…大変なんですね」

伊織「神崎はね、風間っていう呼吸器科の医者を狙ってるのよ」

ナース「み、水瀬さん!これはオフレコよ!」

伊織「あんたから言ってきたんじゃない」

やよい「なんだかオトナの会話ですー!」

P「お、俺、ここにいていいのかな…」

P「あ!伊織、それ、シャルル」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:32:07.62 ID:vUvREr+30
伊織「これ?すごいでしょ!ほとんど元通りよ」

やよい「伊織ちゃん、夜なべして編んでたんですよ!」

伊織「動けるようになった次の日から、新堂に裁縫道具を持って来させて」

伊織「毎日、空いてる時間は夜遅くまで繕ってたの」

P「そうか。シャルルも喜んでるだろうな」

伊織「ええ!」

やよい「伊織ちゃんとシャルルは仲良しだもんね!」

伊織「…そうよ!」

伊織「ね、シャルル!」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:33:23.58 ID:vUvREr+30
ナース「それにしてもこの子達、プロデューサーさんの事を凄く信頼しているんですね」

P「はぁ」

ナース「高槻さんからもよくプロデューサーさんのお話を聞いたんですけど…」

やよい「えへへ…」

ナース「水瀬さんなんかは、事ある毎にプロデューサーだったらどうの~プロデューサーだったらこうの~って言ってたんですよ?」

伊織「ちょ、ちょっと神崎!余計な事言わないでよ!!」

P「やよい、伊織…」

ナース「あら?ごめんなさいね~」

伊織「キーッ!今度会った日は覚えてなさい!!」

P「(ちょっとこの人の喋り方律子っぽいな…)」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:34:38.37 ID:vUvREr+30
伊織「プロデューサー!今神崎が言ってたのはウソよ!忘れなさい!!」

やよい「えっ?でも伊織ちゃん、毎日『プロデューサー、今日は来ないのかしら』って言ってたよね?」

伊織「やよいいいっ!!!」

やよい「あれっ、ごめん伊織ちゃん!?」

P「ははは、よしよし伊織。今日は来てやったぞ?」

伊織「~~!!!」

伊織「フン!!来るにしてもおっそいのよ!!バーカ!!!」

ナース「(水瀬さんって、テレビで見るより実際の方が可愛いですよね)」

P「(神崎さんもそう思いますか)」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:35:15.55 ID:vUvREr+30
やよい「…」

P「ああ、やよいもよく頑張ったな。よしよし」

やよい「えへへぇ…」

ナース「(高槻さんはテレビで見ても実際に見ても天使ですね)」

P「(天使ですとも)」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:37:04.38 ID:vUvREr+30
ナース「あ、オホン…」

ナース「あの、私が言うのもなんですけれど…」

P「?」

ナース「こんな良い子達がアイドルをやっているなんて思ってもみませんでした」

ナース「この子達の事、大切にしてあげてくださいね」

P「…はい」

やよい「えへへ、褒められちゃいました」

P「お世辞だよ、お世辞」

伊織「神崎は大げさなのよね…」

ナース「お世辞じゃないですよ!本心です」

ナース「これから応援しちゃうから、二人とも頑張ってね!」

やよい「はい!ありがとうございます!」

伊織「…ありがと」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:38:05.93 ID:vUvREr+30
ナース「じゃあ…」

P「はい、お世話になりました!」

やよい「またお願いしまーす!」

伊織「ちょっとやよい!その挨拶じゃあまた入院するみたいじゃない!」

ナース「うふふ、楽しみにしてるわ…」

伊織「神崎も不敵な笑みを浮かべない!」

やよい「あうう、そっか…。えっと、じゃあなんて言ったら…」

P「…」

P「応援よろしく、とか」

やよい「あっ!いいですね、そうしましょう!」

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:39:21.00 ID:vUvREr+30
やよい「これからも、応援よろしくお願いしまーっす!」ガルウィン

やよい「あ…ふらふらって…」

伊織「ちょ、ちょっと大丈夫!?」

P「おいおい、頼むぞ…」

ナース「ふふっ、じゃあ元気でね!」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:40:26.54 ID:vUvREr+30
P「いい看護師さんで良かったな」

伊織「うん…」

やよい「…」

P「ちょっと名残り惜しいんじゃないのか?」

やよい「…はい」

伊織「…」

伊織「まぁね」

P「…」

P「あ、そうだ。ちょっと待っててくれ」

伊織「?何よ急に」

やよい「なんだろう?」

P「…お待たせー」

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:41:05.78 ID:vUvREr+30
P「じゃーん、つぶつぶオレンジ100%ジュース。ちょうどいい自販機があったよ」

伊織「…」

やよい「…」

P「はい、伊織、やよい」

伊織「あ、ありがと…よく覚えてたわね」

やよい「…ありがとうございます」

P「…おいおい、どうした二人とも腕にしがみついて」

やよい「あの、久しぶりにちゃんと歩いたから、足が…」

伊織「わ、私も、それ…」

P「…」

P「そうか」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:42:11.53 ID:vUvREr+30
伊織「な…、何よその薄い反応は!」

伊織「この伊織ちゃんに頼られてるんだから、誇りに思いなさいよね!」

P「ははは、光栄で御座います」

伊織「バカにするなーっ!!」

やよい「…暖かい」

P「うん、まぁ、あれだな」

P「待ってたぞ、二人とも」

P「お帰り!」

伊織「…」

やよい「…」

やよい伊織「ただいま!」



おわり

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:45:01.29 ID:vUvREr+30
これで本当におしまいです。お疲れさまでした

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 03:48:43.52 ID:vUvREr+30
元ネタはないです。被ってたら知らん、ごめんなさい

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 04:00:40.91 ID:ZecK2wXj0
終わったか

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 04:03:48.04 ID:GMke2y9RO
乙でござる

82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/04(金) 04:13:06.85 ID:ZecK2wXj0
やよいは可愛いなあ