1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 23:43:30.16 ID:hEmvnG6O0
雪歩「うえっ!? い、いきなりどうしたの、やよいちゃん……」

やよい「いや、ちょっと気になっちゃって!」

雪歩「わ、私の好物は……」

やよい「はい!」

雪歩「お、お茶、とか……」

やよい「それは知ってるかなーって!」

雪歩「あ、そ……そう?」

やよい「食べ物では、何が好きなんですかー?」

雪歩「うっ……」

引用元: やよい「雪歩さんって、何が好物なんですかー?」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 23:48:31.38 ID:hEmvnG6O0
雪歩「……く」

やよい「え?」

雪歩「……にく」

やよい「え?」

雪歩「……ゃき……にく」

やよい「え?」

雪歩「……焼……肉……」

やよい「焼肉ですかー!」

雪歩「や、やよいちゃん! あ、あんまり大きな声で言わないで……」

やよい「765プロのホームページに書いてあったのは、本当だったんですねー!」

雪歩「!?」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 23:59:43.69 ID:hEmvnG6O0
雪歩「え? な……何? ほ、ホームページ?」

やよい「えへへー、この前、伊織ちゃん家に泊まったとき、インターネットで見てたんです! 765プロのホームページ!」

雪歩「えっ……あ、ああ……じゃ、じゃあ、最初から知ってたの? 私が、その……焼肉が、好きだって……」

やよい「でもー、今まで全然そういう話聞いたことなかったから、『キャラ作りじゃないか?』って、伊織ちゃんが言ってたんです!」

雪歩「や……焼肉好きなアイドルなんてキャラ付け、わざわざしないよぅ……」

やよい「えー、そーなんですかあ?」

雪歩「だ、だって全然アイドルっぽくないし……」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 00:08:21.69 ID:XQyxvx2N0
雪歩「そ、それに、あのホームページのだって……私が知らないうちに、音無さんが勝手に載せちゃって……」

やよい「うぇえ!? そーだったんですかー!?」

雪歩「そうだよぅ……。私がこの事務所に送った履歴書に書いてあった内容を、そのまま……」

やよい「うぇえ!? り、履歴書に書いてたんですか!?」

雪歩「そ、そうだよぅ……」

やよい「履歴書に! 『好物:焼肉』って! 書いてたんですかー!?」

雪歩「だ、だからそうだよぉ……。ていうかやよいちゃん、声大きいよ……」

やよい「あっ! ごめんなさーい! 私、びっくりしちゃって!」

雪歩「うぅう……」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 00:19:34.13 ID:XQyxvx2N0
やよい「でもでもー! それって、すっごく羨ましいかもですー!」

雪歩「う……羨ましい?」

やよい「はい! だって、『好物』ってことは、それだけいーっぱい、食べたことがあるってことですよね?」

雪歩「ま、まあ……家では結構、食べてる、かな……」

やよい「だから羨ましいかなーって! 私、焼肉なんて、片手で足りる回数くらいしか、食べたことないですもん!」

雪歩「! や、やよいちゃん……!」

やよい「あ、でも! 私、焼肉はあんまり食べたことないですけど……その代わりに、大好きなもやしを、毎日いーっぱい食べてるから、すっごく幸せなんです!」

雪歩「やよいちゃん……」

やよい「だから雪歩さんも、好きな焼肉をたくさん食べられて、きっとすーっごく幸せなんですよね!」

雪歩「…………」

やよい「? 雪歩さん? どうしたんですかー?」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 00:28:09.34 ID:XQyxvx2N0
雪歩「……やよいちゃん」

やよい「はい?」

雪歩「―――焼肉、食べに行こう」

やよい「ヴぇえ!? い、今からですかー!?」

雪歩「うん」

やよい「あ、でも……私、あんまりお金持ってないかなーって……。今月のお給料も、ほとんどお家に入れちゃって……」

雪歩「私が! 奢るよ!!」ドン!

やよい「ヴぇえ!? そ、そんなの悪いですよー! っていうか雪歩さん、顔が近……」

雪歩「焼肉の夢は! 終わらない!!」ドドン!

やよい「ゆ、雪歩さん! 瞳孔が開いてますー! ちょ、ちょっと怖いかなーって!」

雪歩「あ、ご、ごめんね……。焼肉の事となると、つい我を忘れてしまって……」シュン

やよい「あ、わ、私の方こそごめんなさい! 怖いとか言っちゃって……」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 00:38:40.03 ID:XQyxvx2N0
雪歩「まあそれはともかく、行こうよ焼肉! ねっねっいいでしょお!?」ズズイ

やよい「わっ! あ、でもお金……」

雪歩「私が! 奢るから!!」ドドドン!

やよい「ひぃっ!? わ、わかりましたー! わかりましたから、それやめてくださいー!」

雪歩「わかってくれたなら、いいのよ」ニコッ

やよい「うぅ……夢に出ちゃいそうかも……」

雪歩「あ! そうだ! どうせなら、もう一人くらい誘っちゃおっか? 焼肉って、人数多い方が楽しいし!」

やよい「あ! それもそうですねー!」

雪歩「じゃあ、プロデューサーさんか音無さんか律子さんかあずささんか四条さんが来たら、声掛けてみるね!」

やよい「……? な、なんでその人選なんですか?」

雪歩「えっ、いやまあ……別に深い意味は無いけど! 別に深い意味は無いけど!」

やよい「…………。(何で二回言ったんだろう……)」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 00:46:01.37 ID:XQyxvx2N0
ガチャッ

律子「あーつかれたー……」

やよい「あ、律子さn」

雪歩「律子さん! 今から私とやよいちゃんで焼肉行くんですけど、もしよかったら律子さんも一緒に行きませんか!?」ズズズイッ

律子「うわぁ!? い、いきなり何なの雪歩!? ていうか、え? 焼肉? 今から?」

雪歩「はい!」ランラン

律子「ま……まあ、今日はもう上がるつもりだったから、別にいいけど……」

雪歩「本当ですか!?」グォォォォッ

律子「ちょ、ちょっと落ち着きなさいよ雪歩! 瞳孔開いてるわよ」

雪歩「あ、ご、ごめんなさい……。焼肉の事となると、つい我を忘れてしまって……」シュン

やよい(デジャブかなーって)

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 00:55:16.36 ID:XQyxvx2N0
律子「……まあ、最近は皆忙しくなって、なかなかこういう機会も無かったものね。折角だから、今日は私の奢りでパーッとやりましょうか」

雪歩「えぇえ!? り、律子さんの奢りなんて……そ、そんなの、悪いですよぅ……」

律子「なーに言ってるの。これでも一応先輩なんだから、たまには先輩に甘えなさい」

雪歩「で、でもでもぉ……ねぇ? やよいちゃん?」

やよい「え、あ……そ、そうですね……」

律子「もう、どうせ三人くらいなら大した額にはならないんだから、細かいこと考えなくていいの! 今日は思いっきり楽しんで、それでまた、明日からお仕事頑張ってくれたら、それでいいから。ね?」

雪歩「ま、まあ……律子さんがそこまで言ってくれるのなら……ねぇ? やよいちゃん?」

やよい「え、あ……そ、そうですね……」

律子「よし! そうと決まれば早く行きましょう。もうお腹ペコペコだわ」

雪歩「わ~い! ありがとうございますぅ! 律子さん!」

やよい「…………」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 01:17:46.96 ID:XQyxvx2N0
~焼肉店~

雪歩「プロデューサーさん! 焼肉ですよ! 焼肉!」

律子「……いや、プロデューサーはいないしそれ春香だし」

雪歩「律子さんもプロデューサーさんじゃないですかー! やだー!」

律子「ああ、いや、まあ……うん、そうね……」

やよい「……今日の雪歩さん、なんかちょっと怖いかなーって……」

雪歩「そんなことより! 早く注文しましょうよ、注文!」

律子「あ、それもそうね。じゃあやよい、そこのボタン押してくれる?」

やよい「はーい! ぽちっとな」

ピンポーン

店員「お待たせいたしました。ご注文をどうぞ」

雪歩「えっと、まず国産霜降り風うす切、国産牛特選カルビ、和牛上ロース、和牛上カルビ、黒毛牛上ハラミを各三人前ずつ。それと塩上タン、ネギ上タン、豚トロ、地鶏を各二人前ずつ。あとキムチ、ナムルと焼野菜盛り合わせお願いします!」

店員「畏まりました」

律子「」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 01:27:21.87 ID:XQyxvx2N0
やよい「ゆ、雪歩さん、それちょっと頼み過ぎじゃ……?」

雪歩「えー。そんなことないよー」

律子「…………。(ま、まあカードで払えばいいか……)」

雪歩「あああああ!!」ガタッ

やよい・律子「!?」ビクッ

やよい「な、何ですか雪歩さん……?」

律子「び、びっくりするじゃないの……」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 01:27:54.29 ID:XQyxvx2N0
雪歩「す、すみません! でも緊急事態なんです! やよいちゃん! ボタンを!」

やよい「うぇえっ!? で、でも今注文したとこ……」

雪歩「早く!」

やよい「は、はいっ!」

ピンポーン

店員「お待たせいたしました」

雪歩「ごはん三つ下さい!」

やよい・律子「がくっ」

店員「畏まりました」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 01:36:14.77 ID:XQyxvx2N0
律子「ご、ごはんて……何事かと思ったじゃないの……」

やよい「お、思わず擬態語を発声してしまいましたー……」

雪歩「いやいや……焼肉と言ったら白いご飯ですよ。こればっかりは譲れないです」

律子「……まあ、それは分かるけども」

やよい「私もごはん、だーい好きです!」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 01:37:07.10 ID:XQyxvx2N0
雪歩「あああああ!!」ガタッ

やよい「って、また!?」

律子「やよい、ボタンを!」

やよい「はいな!」

ピンポーン

店員「お待たせいたしました」

雪歩「黒豆茶、三つ下さい!」

店員「畏まりました」

雪歩「危なかったあ……。焼肉と言ったら黒豆茶だもんね」

やよい「……流石に、二回目ともなると慣れましたねー」

律子「……ええ。良い反応だったわよ、やよい」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 01:45:55.10 ID:XQyxvx2N0
雪歩「ああぁ……お肉早く来ないかなあお肉お肉お肉……」

やよい「雪歩さん落ち着いてください。また注文してから67秒しか経ってないです」

律子「時と場合に応じて理性度を高められるやよいは本当に賢い子ね」

やよい「えへへー、ありがとうございますー!」

雪歩「うぅう……もうこれ以上待てないよぅ……なんで焼肉屋さんは60秒キャンペーンとかやってないのかなあ……はぁ……」

律子(雪歩の目がどんどん虚ろになっていく……)

やよい(暗黒面に堕ちていく人って、こういう感じなのかなーって)

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 01:55:52.49 ID:XQyxvx2N0
店員「お待たせいたしました」

雪歩「! キタコレ!」

律子「雪歩、とりあえずよだれを拭きなさい」

雪歩「はっ!」

やよい「うわー、私、こんな量のお肉を見たの、生まれて初めてかもー!」

律子「…………。(私もだわ)」

やよい「わーい! じゃあ早速……」

雪歩「待って、やよいちゃん」

やよい「え?」

雪歩「お肉を食す前に……まず、お肉の神様に祈祷を」

やよい「あ、え、はい。そうですね」

律子(! ……瞬時に、ツッコむだけ無駄だと悟ったのね……やよい、本当に賢い子……!)

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 02:11:59.18 ID:XQyxvx2N0
~十分後~

雪歩「……天にましますお肉の神様よ……どうかこの哀れな私達にご加護を……」ブツブツ

律子「…………」

やよい「…………」

律子・やよい(……祈祷なげぇ!)

律子(ちょ、ちょっと……もう十分以上も、私達、肉を囲んだまま目瞑って祈り捧げ続けてるんだけど!? ねえ何? 何なのこの罰ゲーム!?)

やよい(もしかしなくても、これ以上無いくらいに怪しい集団かなーって)

律子(しかもいつの間にか、私達、哀れ認定されちゃってるし……)

雪歩「……神様のの様お・ね・がい!……」

律子(いやそれ歌詞だから!)

やよい(うっうー…そこは私に歌わせてほしかったかなーって……)

律子(そこかよ! ていうか歌じゃないでしょこれそもそも!)

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 02:19:16.42 ID:XQyxvx2N0
雪歩「……ふぅ。じゃあお肉の神様への祈祷も済んだことだし、頂きましょう!」

律子「そ、そうね……。(結局二十分以上祈祷してたわね……)」

やよい「わ、わーい!(なんかもう、お腹空き過ぎて気持ち悪くなってきました……)」

雪歩「じゃあ、早速焼きますね!」ジュゥッ

律子「おー、良い音!」

やよい「美味しそうですー!」

雪歩「……静粛に」

律子「え?」

雪歩「……『食』とは神との対話……神のお告げを聞き、その意味を識るところから始まるのです……」

やよい「あ、はい」

律子「ええ。雪歩の言う通りね」

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 02:28:18.01 ID:XQyxvx2N0
雪歩「3……2……1……はい!」

やよい「はい!」

律子「はい!」

雪歩「よし……今のタイミングを、忘れないで下さいね」

やよい「はい」

律子(……肉を焼いている間に、肉を返すタイミングをつかむ練習を繰り返し行っている私達を、周囲の人達はどう思っているのだろうか……)

雪歩「……律子さん?」

律子「え、ええ、もちろん大丈夫よ?」

雪歩「それならいいんです。でも、今のうちにいっぱい失敗しておいて下さいね? 本番で失敗したら、もう取り返しのつかないことになりますから…」

律子「ええ、そうね……。(空をつかむだけの練習で、成功も失敗も無いけどね……)」

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 02:34:11.00 ID:XQyxvx2N0
雪歩「では、本番いきますよ。3……2……1……はい!」バッ

やよい「はい!」バッ

律子「はい!」バッ

雪歩「わー! 二人とも完璧なタイミングですー!」パチパチパチパチ

やよい「そ、そーですかあ? えへへ……」

雪歩「はい! 今の感じを忘れないで下さいね!」

やよい「わっかりましたー!」

律子「…………。(まだ一枚も食べてないのに何なのこの達成感)」

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 02:39:27.37 ID:XQyxvx2N0
雪歩「……さて、では皆様」

やよい「はい」

律子「ええ」

雪歩「各々、お肉をお箸でつまみましたね?」

やよい「…………」コクリ

律子「…………」コクリ

雪歩「―――それでは、私達の生きる糧となり、また私達の血となり肉となる尊い命に、感謝の意を捧げながら――……」

雪歩・やよい・律子「――頂きます」

雪歩「…………」アムッ

やよい「…………」パクッ

律子「…………」ハムッ

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 02:46:04.79 ID:XQyxvx2N0
雪歩「! …………」

やよい「こ、これは……」

律子「わぁ……」

雪歩「……お……」

やよい「…………」

律子「…………」

雪歩「おーいひー!」

やよい「こ、こんなに美味しいお肉、初めて食べましたー!」

律子「す、すごい……。なんかもう、肉汁が口の中で弾けるって感じ……」

雪歩「か、神様っ……! ありがとうっ……! ございますっ……!」ポロポロ

やよい(……ゆ、雪歩さん泣いちゃってますー……)

律子(……流石にそこまではどうかと思うけど、まあ本当に美味しいから良いか)

85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 02:51:21.90 ID:XQyxvx2N0
雪歩「……はふぅ……お、美味しかったぁ……」

やよい「……なんかもう、夢みたいかなーって……」

律子「……こういうのを、幸せっていうんでしょうね……」

雪歩「…………」

やよい「…………」

律子「…………」

雪歩「……って、まだ一枚しか食べてないじゃないですかぁ!」

やよい「あーいっけない! なんかもう、ご馳走様な感じになっちゃってましたー!」

律子(……まあ、一枚食べるのにあんだけ時間掛けたらねぇ)

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 03:04:15.48 ID:XQyxvx2N0
雪歩「一枚目は、お肉本来の旨味を味わってもらうべく、あえて何もつけずに食べてもらいましたけど……二枚目からは、それぞれ、自由にしてくれて大丈夫ですよ!」

やよい「うっうー……でもそうは言っても、なんかいっぱいあって、どれつけたらいいのかよく分かんないかもですー。雪歩さん、なんかオススメってありますかー?」

雪歩「そうだねー、私の個人的なオススメは塩、またはワサビかな」

律子「へー。ワサビなんて合うんだ」

雪歩「ええ。すっごく美味しいんですよ!」

やよい「わ、私はワサビは苦手だから……塩にしときますー」

雪歩「もちろん、普通にタレをつけても美味しいよ。大切なのは形じゃない……楽しく食べることだから!」

やよい(……ゆ、雪歩さん、なんかさっきと言ってることが……)

律子(……どうやら雪歩の中では、儀式的な要素は一枚目の肉に集約されてたみたいね……)

雪歩「さー! じゃあどんどん残りのお肉も焼いて、じゃんじゃん食べていきましょー! いぇーい!」

やよい「い、いぇーい!」

律子(……いつになくノってるなぁ、雪歩)

90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 03:12:02.02 ID:XQyxvx2N0
~二時間後~

雪歩「うぅ……も、もうだめ……」

やよい「な、なんか一生分のお肉を食べたような気がします……」

律子「ああ……もうなんか体中に肉汁が行き渡ってるような感じがするわ……」

雪歩「でも、立つ鳥跡を濁さず……ですよ。家に帰るまでが、焼肉です……」

やよい「ゆ、雪歩さん、ちょっと何言ってるのか、わかんないかなーって……」

律子「ま、まあとにかく早く店を出て、外の空気を吸いましょう……これ以上、肉の空間にいるのはつらいわ……」

やよい「そ、そうですね……」

律子「じゃあ、二人は先に出ておいてちょうだい。私は支払いを……」

雪歩「…………」

律子「? 雪歩? どうしたの?」

雪歩「律子さん……ここは、私が」

律子「え?」

94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 03:20:33.44 ID:XQyxvx2N0
雪歩「……今日は元々、私の方から誘ったことですし……」

律子「……何、変な気遣ってんのよ。言ったでしょ? たまには先輩に甘えなさい、って」

雪歩「でも、注文も、ほとんど私の独断でしちゃったし……食べ方とかも、なんか色々口うるさく言っちゃって……」

律子「…………」

やよい「雪歩さん……」

雪歩「二人には、その……迷惑掛けちゃったな、って思うんです。だから……」

やよい「め、迷惑だなんて、そんな……」

律子「…………」

雪歩「それにやよいちゃんは、元々、『私が奢るから』って言って、無理に誘っちゃったんだし……」

やよい「そ、そんな私は、別に……」

雪歩「だから、律子さん。ここはわた―――いたっ!?」ピシッ

律子「…………」

やよい「デコ……ピン……!?」

97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 03:31:30.87 ID:XQyxvx2N0
律子「……同じことを何度も言わせないの」

雪歩「律子さん……」

律子「言ったでしょ? たまには先輩に甘えなさい、って」

雪歩「でも……」

律子「でももへちまもないの。大体、私もやよいも、雪歩に迷惑掛けられたなんて、これっぽっちも思ってないわよ?」

雪歩「……え?」

律子「そうでしょ? やよい?」

やよい「そーですよー! 迷惑なんて、とんでもないです!」

雪歩「や、やよいちゃん……」

やよい「私、今日、雪歩さんと律子さんと、一緒に焼肉が食べられて、すーっごく、楽しかったんですから!」

雪歩「……やよいちゃん……」

律子「そういうこと。それに食べ方だって、雪歩が、食べることへの感謝の気持ちを、きちんと持っていることの表れでしょ? それが迷惑になるわけないじゃない」

雪歩「……律子さん……」

律子「ついつい、日々の生活の中で忘れがちになる食への感謝の心……それを持ち続けているあなたは本当に立派よ、雪歩」

雪歩「うぅ……そ、そんなこと……」

100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 03:42:19.17 ID:XQyxvx2N0
律子「だからこれは……食の大切さを改めて気づかせてくれたことへのお礼、と思ってちょうだい」

雪歩「…………」

律子「そして、いつかあなた達がトップアイドルになったら……そのときに、たっぷりお返ししてもらうから。……ね?」

雪歩・やよい「……はい!」

律子「……ん。良い返事ね。……あ、すみません。お会計お願いします」

店員「……あ、えっと……」

律子「?」

店員「……お客様のテーブルのお会計は、既に頂戴しておりますが……」

律子・雪歩・やよい「…………え?」

102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 03:53:57.83 ID:XQyxvx2N0
~同時刻、焼肉店近くの路上~


冬馬「……なあ、オッサン」

黒井「ん?」

冬馬「……何で、あいつらの分まで出してやったんだ?」

翔太「そーそー。僕もそれが聞きたかった」

北斗「また、いつもの気まぐれですか?」

黒井「……フン。……貴様等には関係の無い事だ」

冬馬「……?」


黒井(……食前に、あれだけ長い時間の祈りを捧げるとはな……)

黒井(食に対する感謝の気持ち……それを常日頃から持っていなければ、到底できん芸当だ)

黒井(…………)

黒井(なあ、高木よ……)

103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/16(水) 03:56:22.00 ID:XQyxvx2N0
黒井(私達にも、一膳の麦飯、一杯の味噌汁に感謝した日々があったな……)

黒井(お前のところのアイドルに、まさかそんな昔日の記憶を呼び覚まされるとは、思いもしなかった……)

黒井(今日の分は、そのことに対する礼として、受け取っておくがいい……)



黒井「……クックックッ……」

冬馬「?」

黒井「ハーッハッハッハ!」

冬馬「うお、なんだよ急に」

翔太「クロちゃん、ボケちゃったの?」

北斗「痴呆には、まだ早いんじゃないですか?」

黒井「クックックッ……ワーッハッハッハッ!」